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カテゴリ:シリア事情あれこれ
ようやく最近になって、シリアの内戦を「宗教戦争」または「宗派対立」と正しく解説する記事が出始めたように感じます。「政府 VS 国民」という構図が成り立たないことにやっと国際社会も気付き始めたということでしょうか。 私は1年前のブログで「NATOがシリアを攻撃すれば...?」という記事を書いたことがあります(http://plaza.rakuten.co.jp/fmtours/diary/201205310000/ )。その時点で、宗教戦争であることは明らかだったのですが、それ以降もニュース報道ではずっと「政府 VS 国民」という構図が報道され続けていました。あまりにも現実からかけ離れているので、いつしか新聞やテレビでシリアのニュースを見聞きすることをやめていました。 宗教対立は根深く、現実的には「和解」が成立することはあり得ません。たとえいったん収まっても、憎しみは世代から世代へと受け継がれ、また再燃する―その繰り返しです。隣国レバノンもで起きた内戦も、宗教戦争でした。 この戦争が残したものは、汚染された土壌と15年たっていよいよ増え続けるガン患者と、憎しみの再燃を恐れる不信感だけ。「中東のパリ」と言われたかつての面影はレバノンにはなく、失った過去を懐かしむプライドだけが先行しています。 私たちの知っている美しいシリアはもうなくなってしまいました。故郷を追われたシリア人は、難民指定され、次々にアメリカやヨーロッパや北欧へ渡っていきます。前にも書きましたが、中東諸国は多宗教・多民族のモザイク国家。この微妙なバランスが壊れると、大混乱になります。いったん壊れたこのバランスは元には戻らないでしょう。これは当のシリア人が一番よく知っていることです。 シリアという故郷を失っても、シリア人には渡航先で力強く生きて行ってほしいと思います。シリアの大地が緑のじゅうたんで覆われ、美しい花が咲き乱れ、子供たちの無邪気な笑い声が響き渡り、人々が夜遅くまで散歩し、道端に笑顔がこぼれる日が帰ってくるまで。 当方のホームページから無断転載している"類似品"にご注意ください:http://plaza.rakuten.co.jp/fmtours/diary/201302080000/ 当ブログおよび picturesque-jordan (http://picturesque-jordan.com/) のホームページに掲載している全ての情報や写真の著作権は、本ブログおよび当該のホームページの管理者にあります。著作権者の許諾を得ずに、著作物を利用すると著作権侵害となります。違法転載を目にされた方はご報告くださいませ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.05.25 03:12:52
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