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月の砂漠-ヨルダンから

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2013.09.09
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魔の9月9日がやってきました! この日はアメリカの議会が招集される日で、シリアへの軍事介入についての話し合いが始まり、そして実際の軍事介入に至る可能性もあり…。さて、今後のアメリカの動きからしばらくの間は目が離せません。

オバマ大統領はシリア攻撃を高らかにうたっていましたが、どうも現時点では孤立しつつあるようです。アメリカ国内外を問わず、シリアの攻撃に消極的な意見のほうが多い。ああ、このまま孤立してくれますように! と祈らずにはいられません。

だって、何のためにシリアを攻撃するんでしょう? 宗教戦争に突入している国に、いきなり外部からドカンとやっても、そもそもターゲットというものがありません。さらに、アサド政権を弱体化させて一体どうなるというのでしょう? 野獣のような行動が目立つ "反体制派" が何をしでかすか分かりません。

*「反体制派」というのは名ばかりで、実際は宗教グループや組織の利権ごとに分裂しており、大義も大志も何も持っていない。だから犯罪的な行動が目立ちます。

こう書くからと言って誤解をしていただきたくないのですが、シリアで起きていることについて、無関心なのではありません。心を痛めています。特に中東にいれば、シリア問題にもイラク問題にもパレスチナ問題にも日常的に関わらざるを得ません。

でもその分、物事があまりにも複雑すぎることを痛いほど実感させられます。アメリカや、アメリカ寄りの日本のメディアで報道されているような、「政府 VS 反体制派」という簡潔明快な方程式が成り立たないことを肌で感じているのです。

前にも書いたように、中東は、新大陸を移民が切り開いて作り上げたような国とは根本的に違う。古の過去から人々が行き交い、「伝統と歴史と宗教」を作り上げてきた場所です。その途上で、民族的・宗教的プライドや憎しみも世代から世代へと伝えてきた。

だからこそ、ここに住むアラブたちと一緒になって大きな声で言える。「シリアへの軍事介入に意味はない。意味がないどころか、事態を悪化させて最悪な結末を招くことにもなりかねない」と。

だったら解決策を提示しろ、と言われるかもしれませんが、指導者たちによる解決策はありません。だって人々のが変わらなければ、憎しみはいつまでも燃え続け、世代から世代へと受け継がれ、やがてまた同じことが繰り返される。中東の歴史はそうやって、憎しみの連鎖が繰り返されてきたのです。

何より、軍事行動うんぬんという「解決策」を論じる前に、まず相手を理解することが必要ではないでしょうか? 中東の複雑な歴史的・宗教的・民族的背景を知らずして、どんな「解決策」も解決策にはなりません。

今後シリアの内戦がどうなるか…レバノンのように15年間も内戦状態になるのか、イラクのように国として崩壊し国民が離散状態になるのか、今の段階ではだれにも分かりません。百害あって一利なし。それが戦争です。


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最終更新日  2013.09.09 23:11:03
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