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月の砂漠-ヨルダンから

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2015.08.01
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ドイツで知り合ったシリア難民の中に、ヌールという男の子がいます。ヌールは9歳。お父さんとはるばる徒歩でドイツまでやってきました。4か月ほど前のことだそうです。

ヌールはアラブの中でも端正で繊細な顔立ちをした、少女マンガに出てきそうなきれいな男の子。茶色でうっすらカールがかかった長髪を風になびかせて立っている端正な顔立ちのヌールは、かなりハンサムなアラブの少年です。ちなみにヌールとはアラビア語で「光」という意味。

初めて出会った時、「どこから来たの?」と聞くと、ラッカからという返事。ラッカ…すごく聞き覚えのある名前だな、と思った瞬間、ああ、ラッカ!!! ラッカはイスラム国によって「首都」と宣言された都市。イスラム国が制定するイスラム法が隅々まで施行され、商業・金融など都市のすべての機能がイスラム国によって統制されているところです。

ヨルダンではラッカからのシリア人に会う機会はありませんでした。ですから、ラッカからのシリア人に会うのは、これが初めて。お父さんとも知り合いまして、ラッカの様子を色々聞いていますと、人々は普通に生活はできているということ。ただしアメリカ主導の空爆やシリア政府主導の空爆がひっきりなしにあるようで、シェルターなどもない普通の家々では、シリア人たちが恐怖に怯えながら生活をしているというのも事実だそうです。

ラッカ=イスラム色が非常に強い都市、というイメージがあったのですが、ヌールのお父さんによると、イスラム国が来るまではクリスチャンもイスラム教徒も混じり合って全く問題なく生活していたそう。クリスチャンの友達も多いらしく、ラッカで宗教の違いが問題になるなんてことはなかった、ということです。

今はイスラム国が支配しているのですが、教会はすべて破壊されたもののクリスチャンたちが全て虐殺されるということはなく、クリスチャン女性はイスラム女性のように体全体をすっぽりと覆いさえすれば普通に生活できているとのこと。ただヌール一家はイスラム教徒なので、実際にラッカに住むクリスチャンたちに話を聞けば、普通に生活できているなんてとんでもない! 恐怖におびえているんだ!! という答えがきっと返ってくることかと思います。

ラッカでもイスラム国による処刑などは普通に行われていたようで(多分、イスラム国台頭の初期のころかと思われますが)、誰々が首をはねられた…なんていう会話が大人たちの間でよく交わされていたそう。親は、子供たち(特に女の子たち)が不必要に家から出ることを禁じますので、「今日は誰々が首をはねられて処刑された」などという大人の会話を聞くは聞くも、子供たちがそうした現場を実際に目撃することはあまりないようです。

ただしヌールは別。9歳ともなれば、そして男の子なので、女の子よりはるかにあちこち自由に行き来していたようで、処刑の現場や首をはねられた遺体などを実際に見てきた、ということです。ヌールは当たり前のように、「首を切り落とすところを見たよ」などと話す。でも9歳でそんな場面を何度も見るなんてことは、実はかなり異常なことです。

1回目はショッキングなことでも、何度か続くと見慣れてしまう。ヌールも見慣れてしまったかに見えます。でもドイツにやってきて、今はお父さんと一緒に心療内科で薬を処方してもらっています。お父さんもヌールも、夢でフラッシュバックする残忍な光景に眠りが妨げられてしまうようです。お父さんはうつ的になってしまっているかに見えます。一日をほぼ眠って過ごすらしい。妻と3人の娘をラッカに置いてきているので、そのことも彼の良心を責め立てるのでしょう。

ヌールはごく普通に見えます。普通に受け答えできますし、ぱっと見ると普通の子と全然変わらない。いつも外で遊んでいるし、学校にもちゃんと行っているし、活発な男の子。でも…目が違う。初めて会ったときから、ヌールの目がちょっと気になっていました。私の勘違いなのか…とも思っていましたが、色々話を聞くうちに、やっぱり本当は「普通」じゃないんだ、と思います。

目

彼の大きく見開いた目は不必要にギラギラしていて、目の奥は無表情。このギラギラ感がちょっと異様で、単に目が大きいというだけではない感じ。

その目は「僕は全てを知っている」という目。9歳という子供の無邪気な目ではないんです。それから"悲しみ"という感情が全くない。悲しみという感情はなくなったかに見えます。

今のうちに手を打たないと、この幼少期の体験がのちのち彼の人生を大きく変えてしまうことになりかねません。

が、ドイツ語もままならない彼ら。心療内科にかかっているからといって、お医者さんやカウンセラーに思いを打ち明けられているわけではありません。

ドイツでは、難民の子たちを対象に音楽セラピーのようなこともなされているみたいで、音楽を聴きながら自分が体験してきたことを話させ、何がトラウマになっているかなどということをお医者さん達が探る療法もあるようです。こうした療法は無償で提供されます。

でも、ヌールのお父さんは自分も大変なので、ヌールをこうしたところに通わせることが必要だなどという認識はない。単に心療内科で処方される薬を飲んでいるだけ。ヌールのお父さんは典型的なアラブ男性で、家族と離れて、ヌールとたった一人で向き合うことに慣れていないようにも思えます。増え続けるシリア難民たちですが、言葉の壁があるので、きめ細やかなお世話がなされているわけではありません。住む場所、食べることには困りませんが、精神的なサポートまでは手が回りません。

また、アラブ世界には一般的に「精神的サポート」などという発想はありませんので、彼ら自身がそうしたことを求めることもない。心に傷を負った難民たちの問題が表面化するには時間がかかりそうですが、あと数年もしたらきっと心を病む難民たちで溢れかえってしまうかもしれません。

このラッカから来た少年のことがいつも私の気にかかっています。ヌールのお父さんよ、もう少ししっかりしてくれい! とも思いますが…。でもこんなケースは、増え続ける幾百・幾千というシリア難民の中のたった一つのケース。はるばると海を越えてきたけど、ドイツもパラダイスではないというのが現状なのです。


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最終更新日  2015.08.01 23:41:58
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