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月の砂漠-ヨルダンから

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2016.03.03
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カテゴリ:ヨルダン生活編

こんなニュースが飛び込んできました…。3月1日の夜から3月2日の未明にかけて、ヨルダンの都市イルビッド(Irbid)で治安当局と jihadist militants (聖戦主義者) の間で銃撃戦があり、8名が死亡…だそうです。あちゃー、ヨルダン…。

jihadist militants (聖戦主義者) というのは、まぁつまりイスラム過激派=テロリストっちゅうことですわな。今回イルビットで治安当局に抑え込まれた彼らは、爆弾とか武器を隠し持っていて、市民を攻撃する予定だったということです。

死んだのは、過激派に属するアラブが7名と警察官1名。合計8名です。

さて、今回のこの事件ですが、ヨルダンの治安がこれによって悪くなる、とかヨルダンが危険だということに直結することはありません。もちろん、ヨルダン国内にイスラム国を支持するアラブがいることは確かです。これは、ヨーロッパ各国にもイスラム国の思想を支持する若者たちがいることと何ら変わりありません。

ヨルダン政府はこうした過激な思想を持つ危険人物をマークしていて、水面下で抑え込んでいます。私たちが知らないところで、治安維持のためにヨルダン当局はかなりの努力を傾けていますし、治安の維持に成功しています。今回の事件も、本当は水面下で行われるはずだったかと思います。が、今回は過激派のアラブが執拗に抵抗してきたので、治安当局としてはやむなく武力行使に至ったかと思います。

ヨルダンの治安部隊の展開は午後19時から。過激派のアジトを押さえこむ作戦でした。イルビットに住んでいても、アジトの近隣に住んでいない限りほとんどの一般の人々は気付きさえもしなかったかもしれません。もし抵抗に遭わなければ、あっという間にアジトは抑え込まれ、ニュースにもならなかったかと思います。

ヨルダンのポリス

イルビット市内に展開するヨルダン警察。BBCのホームページからお借りました。

ただし今回は、相手側がひるまずに抵抗してきたために、まぁニュースになってしまったという訳でしょう…。多分イルビット在住であっても、ほとんどのアラブは翌朝、あれ? なんか警察官の数がいつもより多い? なんで? えーっ、そんなことがあったのぉ? 全然知らんかった~、という感じなのではないかと思います。

まぁそんな訳で…ヨルダンも他の国々と同じように、イスラム国の思想に洗脳された者たち(主に若者たちであろうと思われます)をいかに封じ込めるかに手を焼いていると思います。人の思想というものは法律では変えられない。イスラム国の手法は、この過激な思想を独り歩きさせることです。そうしたら、イスラム国というものがも存在しなくなっても、その思想は脈々と受け継がれていく。やがて第2のイスラム国が台頭する。それが狙いではないかと思います。

ヨルダンの若者たちも、貧困や失業にあえいでいます。ヨルダンという国自体、リッチではありませんし、他のアラブ世界同様、ご多分に漏れずコテコテのコネ社会。努力しなくてもトントンと事が運ぶアラブと、どんなに努力しても身を粉にしても全く報われないアラブもいる。若者たちの間でもそうです。仕事はコネがあれば見つかるし、コネがなければ見つからない。

そんな状況ですから、イスラム国の思想に惹かれる若者がいても全然おかしくない。イスラム国に惹かれる若者たちの理由は国によっても様々かと思いますが、ヨルダンに関していうなら、生活苦、希望のなさ、お金のなさ…この辺が一番大きな理由なのではないかと思います。

とにもかくにも、ヨルダン政府は治安維持に全力を挙げていますし、テロを許さない! という気風が強く漂っています。「思想」との闘いは根深いものがありますから、過激派を武力で押さえればいいというだけの話ではありませんが…。いずれにしても、やっていくしかありません。国としては、1に治安維持、2に治安維持です。頑張ってほしいものです、ヨルダン。


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最終更新日  2016.03.03 15:03:42



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