悲しくて泣きました
ツアーコンサルタントの仕事を始めてすぐに出会ったシリアの旅行会社があります。コネとツテが命である中東で、コネもツテもない外国人の私が1から仕事を立ち上げるのはかなり大変だったけど、それでも仕事が軌道に乗ったのは、こうした信頼できる旅行会社の協力のおかげ。ヨルダンでは、取引先の旅行会社を何度も何度も変更しました。どいつもこいつも仕事ができず、話にならん! というのがヨルダン人と仕事をする私の率直な意見。ヨルダン在住でありながら、ヨルダンでのビジネスパートナーを見つけるのに一番苦労しました。特に観光業は、ヨルダンではアラブ世界で典型的な″ファミリービジネス″。祖父が仕事を立ち上げ、現在は父親が社長継承、息子は次期社長で、おじは専務、その息子はドライバーで…と家族・親族総出で、まわします。そのため体質が本当に古く、ビジネススキルのなさは歴然としていますが、コネと惰性で何とか持ちこたえている。こうした家族総出の旅行会社が大半を占める中で、家族関係に頼らない全く独立した旅行会社を立ち上げるヨルダン人も最近少し出てきました。私はこうした新しい旅行会社と好んで提携します。古い体質はご免こうむる!さてシリアの旅行会社とは仕事を立ち上げたと同時に提携をし、現在にいたってます。浮気の必要は全くなし! 私がラッキーだったのかもしれません。100%信頼でき、100%クリアで、良心的。1を言うと10を悟る。本当に助けになる旅行会社でした。シリアのゴタゴタが始まって、シリアのお手配がぐっと減ってからも、マネージャとは連絡を取り続け、近況を確かめていました。またレバノンのお手配をこのシリアの旅行会社を通して手配することもありました。私がどうしてもこの会社を使いたかったのです。「全然問題ないよ。仕事も普通、子供たちも学校に行っている。」と聞いたのがつい数か月前でしょうか。それから、少しずつメールの内容に変化が表れ、今日はこんなメールが。Dear Naokothanks for your e-mail,in fact I already closed my office , I spend much time at home , I keep in touch with my clients (if any request or question)I enjoy keep contacting with you or all my agents, it keeps me busy a little, but, for business safety , I am afraid that something can happen to the internet or to me, so you will face problems with your clients.オフィスはすでに閉じ、ほとんどの時間を家で過ごしている。仕事の依頼があると返信をするし、それは気分転換になってきたけれど、仕事面の安全性を考えると、それももうそろそろできなくなってきた。インターネットに問題が生じたり、自分の身に問題が生じたりして連絡が取れなくなり、あなたのクライアントに迷惑をかけるようなことになることを心配している。というような内容です。短いメールの中に、シリアの危機的な状況が垣間見え、思わず泣いてしいました。このマネージャをはじめとして、誠実に地道に築き上げてきたものがすべて取り去られ、将来の展望が全くない中で暮らすシリアの人々。自分の明日の命すら分からない、という絶望的な状況に追い込まれています。実際、先週の木曜日だったかに起きたダマスカス市内での爆発では、多数が巻き込まれて死にました。たまたま道を歩いていた人たちや子供たちが巻き込まれたのです。日本では報道規制がかかるかと思いますが、ここヨルダンでは、吹き飛んだ体や血まみれの体、黒焦げの体が何度も映し出されていました。シリアの情勢は、悪化の一途をたどっています。このブログで何度もお伝えしていますが、シリア情勢は早い段階で、政府と民間の闘いではなく、宗教戦争へと形を変えています。シリア情勢の影響をまともに受けるのがレバノンです。ヨルダンはシリアと政治的にも一線を画していて、シリア情勢がヨルダンに直接的な影響を与えることはありません。対岸の火事、のような雰囲気も感じられます。私としてはシリアがこんな状況になってしまったことが悲しくて仕方ありません。中東諸国すべてに共通することですが、シリアもアサド政権を倒せばすべてうまく行く、というような単純な構造ではないのです。アラブ諸国のこの複雑な構造を見くびっていたのは、反体制派に資金援助をしてデモをあおった欧米の一部の国々でしょうか。いずれにしても、始まってしまったことは仕方ありません。でも終わりはないでしょう。それはイラクで十分立証されています。シリア国民はUNの援助で難民指定され、どんどんとアメリカへ移住し始めています。故国を捨てざるを得ませんが、新たな地で頑張ってほしいものです。それからシリアの地をいつかまた笑顔で踏めることを祈りつつ… ヨルダンツアーのことなら:http://picturesque-jordan.com/ にほんブログ村←読み終えたらクリックしてくださいね。