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2009年06月18日
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6/15の感想の続きです。

「この世界の片隅に 上中下」こうの史代 作 (双葉社)
こちらは漫画です。

戦時中から終戦まで、昭和18年から22年までのお話です。
主人公は「すず」。彼女は広島生まれで、軍港で有名な呉に嫁いでいきます。
ちょっと(かなり?)ぼーっとマイペースな女性で、得意なことは絵を描くこと。裁縫は苦手。

このおはなしでは、すずのごくごく当たり前の(戦時中の)日常が描かれていきます。
実家の家族との触れあいや仲睦まじい夫とのやりとり、嫁ぎ先の家族に受け入れられていく様・・・。
戦時下の節約ややりくり、ご近所付き合いなど、ほのぼのといっていい、「普通の」生活が綴られていきます。

戦争物のお話ってTVでも映画でも、これでもかと悲惨な状況を出したり、軍国青年が出てきたり、「非国民!」と声高に叫ぶ人が出てきて、「こんな戦争は・・・」と思想を持ち出した話になってきませんか。
ですからこの漫画はとても新鮮で、普通のひとの普通の日常なだけに、逆にとても重いものを感じました。

この作品は「戦争」を描きたいんじゃなくて、「人が生きていくこと」を描きたいからいわゆる戦争物とは違うのでしょうね。

読み始めからタイトルの「この世界の片隅に」にはどんな言葉が続くんだろうか、と気になっていました。
最後まで読んで、その答えが明かされるのですが、そこにも作者の姿勢がよく出ていると思います。
もったいないからその答えは書きませんが、自分の目で読んで確認していただけたらうれしいです。


最後にここだけ、一部引用してご紹介します。

「しあわせの手紙」
此れは不幸の手紙ではありません

だってほら
眞冬と云ふのに
なまあたヽかい
風が吹いてゐる

時をり海の匂ひも
運んで来る

道では何かの破片が
きらきら笑ふ

貴方の背を撫づる
太陽のてのひら

貴方を抱く
海苔の宵闇

留まっては
飛び去る正義

どこにでも宿る愛

そして

いつでも
用意さるヽ
貴方の居場所

ごめんなさい

いま此れを読んだ
貴方は死にます

すヽ゛めのおしゃべりを
聞きそびれ

たんぽヽの
綿毛を
浴びそびれ

雲間のつくる
日だまりに
入れそびれ

隣に眠る人の夢の
中すら知りそびれ

家の前の道すらすべては
踏みそびれ乍ら

ものすごい速さで
次々に記憶となって
ゆくきらめく日々を

貴方は
どうする事も出来ないで

少しづヽ
少しづヽ小さくなり

だんだんに動かなくなり

歯は欠け
目はうすく
耳は遠く

なのに其れを
しあわせだと
微笑まれ乍ら

皆が云うのだから
さうなのかも知れない

或ひは單にヒト事だから
かも知れないな

貴方などこの世界の
ほんの切れっ端に
すぎないのだから

しかもその貴方すら
懐かしい切れ切れの誰かや何かの
寄せ集めにすぎないのだから

・・・


この方の作品は「夕凪の街 桜の国」が映画化されていますが、漫画でしか伝わらない時間感というか、間合いというかそんなものがあるので、あまり映像化はされてほしくない。
もし映像化されても、それは全然別のものになってしまうので、是非是非漫画でご一読をお勧めします。







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最終更新日  2009年06月18日 13時40分54秒
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