この1ヶ月は、なかなか充実した忙しさだった。
10年以上住んでいたアパートを出る事にしたのだ。

2～3年前くらいから、住環境に対する不満がつのりはじめ、
もはや限界！というところまできていた。

一人暮らし用のアパートにしては広い部屋だったと思うが、
やはり狭苦しいキッチンでは、料理など楽しめない。
飲み歩く習慣をやめて、自炊＆家飲みが定着してきたことで、
キッチンの不便さにいらだつようになってきていた。



トイレとバスが一緒というのもいまいちであったが、
それ以上に洗面台を支える金具が腐ってボロボロ落ちてくることや、
湯船の床がなんとなく裏面から腐食しているのか、
いつかズボッと穴があいたりしないだろうか？
という不安を抱かせるような踏み心地になってきていたのも大きい。

うっすら水漏れしている水道。
目地をふさぐゴムのようなものもはがれてきている。
ライトのカバーについていたゴムは、
カピカピにひからびて、とれてしまった。

やはり10年以上も住めば、劣化は甚だしいものなのだ。

それに下に住んでいる住人が、なんだかあやしい。
神経質な男性で、何の仕事をしているかわからない。
平日も休日もたいてい家にいて、時々バイクで
出かけるのだが、わりとすぐに戻ってくる。
この人、モノを落としたりするだけで、
天上をどーんとどついてきたりするので、
とても怖いのだった。




友人が来たときも楽しく笑い合っていたら、
下からドカンドカンと突き上げられて、みんなゾッとしたっけ。
平日の陽も高い時間だったのに、そのくらいでキレるなんて、
なんて恐ろしいんでしょう。
それ以来、友人をあえて呼ばない生活でした。

すぐそこに道があるけど、夜中だろうが明け方だろうが、
元気な若者達は、ワイワイ言いながら歩くので、
夜はうるさかった。
街頭も明るすぎて、寝る時に部屋を暗くする工夫が必要だった。

昼間は近所のオッサンが、歩きながらカーーーッツペッ！と
たんつばを吐く音が狭い住宅街にこだまする。

近所のオバサンが犬を叱ったり呼びつけたりする
ヒステリックな叫び声が毎日のように聞こえる。



気持ちよく晴れたな～という日には、
どこかに布団を叩き過ぎる人が必ずいる。
うるさくて頭に来た事が何度もある。
叩いたって布団がダメになるだけなのに。



朝は、ゴミの収集車がゴーーという音を立てて
やってくるのが間近に聞こえて、
共同のゴミ箱のフタを開け閉めするバンバンという音が
けたたましく響き渡ったものだ。


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共同ゴミ箱には、これまた夜となく昼となく、
収集日に関係なく、無軌道な連中がゴミを捨てにくるので、
のべつまくなしにバンバンという音が響いていた。


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こっそり粗大ゴミを捨てにくる人も多くて、
玄関先に不法投棄をしょっちゅうやられてしまう。
これもストレスだった。


ご近所中の生活音が、
聴きたくなくても耳に入ってくる。
集中力というものが次第に失われて行ったように思う。
聴きたくなくても聞かされるのだから、たまらない。


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窓下の駐車場や車をとめやすい手前の道は、
しょっちゅう車が出入りするが、
心ないドライバーが
ものすごい勢いでドアをバーーンと閉めると、
部屋全体が一瞬ゆれたものだ。

嘘ではない。
誇張しているのではなく、本当に揺れたのだ。
振動した、と言った方が正確かもしれない。
おそらく東京にそれなりの大地震が来たら、
あの部屋は崩れ落ちるだろう。


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それに、毎日のようにやってくる
「粗大ゴミの回収車でございます」という
大きな音でアナウンスして回ってる車。
あれで、テレビの音も聞こえなくなるんだ。



引越することを決めてからは、
引越業者さんを選定したり、
不要品を処分したり、
ためこんでいた余計なモノ達と
改めて向き合ってみたり、
引越なんて事務的なものだと思っていたら大間違いで、
こんなに自分と向き合う、
自分探し的なイベントもないもんだ。

大変だったよ。

でも引越してよかった。

そんなわけで、今は、上記にあげつらねた
不満はすべて解消されたところに住んでいる。
荷物の整理はまだまだかかりそうだが、
おおむねイイカンジであります。