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テーマ:徒然日記(23325)
カテゴリ:私小説的新生活日記
静かな夜、静かな朝、静かな住宅街の静かな暮らし。
ずっと手に入れたかった憧れの生活が、 実現することがあるなんて、 ちょっと前なら思いもしなかった。 子供の頃から、広いお屋敷に住みたかったのだ。 ウサギ小屋と言われるような日本の住宅に住むのは、 心の底からイヤだった。 20代前半の、夢も希望も満ちていた頃には、 どんどん出世してお金持ちになって 大きな家を買うのだとか、本気で思っていたし、 まぁ、そんなに出世しなかったとしても、 いずれ出会いが訪れたら、それなりのお金持ちに嫁いで 悠々自適なお屋敷ライフを手に入れるのだ、 なんてことも密かに野望を抱いていたものだった。 私の「広い家願望」はおそろしく強いものだったので、 週に1回は、広いお屋敷を舞台にした夢を見たりもしていた。 毎回、出てくるお屋敷は違っていたし、 時にはモダンなマンションだったり、 都会の商業施設風のガラス張りの大きなフロアだったり、 舞台は、常に万華鏡のように変わりながらも、 「広い居住空間」ということだけは一貫していた。 夢から覚めるたびに、自分の願望をたしかめた。 普段からインテリア雑誌を眺めては、 「こんなのムリ」とため息をついていたけど、 頭ではわかっていても、 強い欲望は消せはしないものなのだ。 夢は相矛盾した事柄に決着をつけてくれるようでもあり、 ともすれば、あきらめがちな欲望の炎を消さないように 維持してくれているようでもあった。 ELLE DECO (エル・デコ) 2009年 10月号 [雑誌] ハイクオリティなインテリアデコレーション誌【年間購読】ELLE DECO 結婚しなさそうな30代を越え、 ついに40歳をまたいだ時には、 自分という人間の限界も見えてきた。 会社という組織に向かないこと、 フリーランスになっても、 がむしゃらに働くタイプではないこと、 天才ではないこと、 絶世の美女ではなかったこと、 世の中に私と結婚したい男性は希少らしいこと、 希少だから出会える可能性は少ないこと、 この先、まったく見えない人生になっていること、 将来という言葉と絶望という言葉が重なってくること、 そして、大きな家を買うなど自分の力では無理なことも…。 おひとりさまの老後 おひとりさまの「法律」 特にネガティブにならなくても、 現実を見つめるだけで、かなりしんどいことになってきている。 それでも一人暮らしにしては広い部屋を借りていたし、 それなりに満足はしていたのだった。 私などは、この程度で満足しなければいけないんだ、 とも思っていたし、 「あきらめ」を知ることも大事なんだと思うようになってきていた。 これを成長というのか、老化というのか、 よくわからないけど、 いくら頑張っても、ダメなものはダメってことが、 わかるのが40代かもしれない。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年10月28日 13時13分22秒
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