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カテゴリ:随想
日曜日の朝である。例年4月のこの日曜日の朝は「えざらい」になる。「いざらい」と呼ぶところもあると聞いている。いわゆる溝掃除である。 只野の家の周りは昨年の場合、建築現場だったこともあり、大量のコンクリートあたりが溝に流れ込んでいることは、容易に予想していた。したがって、例年以上にこの日を構えていたことになる。 やはり予想通りであった。単なる溝さらいの道具では追いつかない。 そのとき只野は、古ぼけた三角状のクワを思い出した。「あいつがあれば掘り出せるかもしれない」 そのクワはかなり古く、柄の部分はササクレだっていた。最近では、愚息2が発掘と称して庭の砂利を掘り出す道具として使っていた。 そのクワは、只野の予想通り溝のコンクリートを掘り出す貴重な役割を果たすことになった。 しかしそれを操る力は、例年の倍以上のものを感じることになった。そしてその事実は、只野が事後のビールを飲む格好の理由にもなった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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