連れ床屋
今年の10月1日は日曜日である。何となく区切りがいいので、只野は床屋へ行くことにした。 そう思ってふと横を見ると、愚息1は昼間にもかかわらず、起きがけのライオンのような髪の毛をしていた。 したがって、愚息1とともに床屋へ行くことにした。 そこへ愚息3がやってきた。買い物をしたいので一緒に連れて行けという。愚息3の髪の毛はそれほどでもなかったが、ついでだから散髪をさせることにした。 3人で床屋に入る。長椅子に座って順番を待つことになる。只野の3人は年齢の若い順に座った。床屋の椅子に一人ずつ案内されるごとに、待ち人は一人分ずつ横に詰めていくことになる。さながらところてんの様相である。 やがて3人とも散髪になる。愚息3について「どんな風にしますか」と職人に聞かれる。「短くして下さい」只野は答える。「わかりました」職人はこれだけでわかるらしい。 自分のものをとられて、お金を払うのは床屋ぐらいである。この際同じお金なら、たくさんとられた方が得になる。普通は何かをいただいてお金を払う。 愚息1について同じく聞かれた。只野は「短めに、もみあげは普通で」と言った。「あとは本人に聞いて下さい」とも言った。 愚息1は以前に「もみあげ」と「かりあげ」を間違えて「そのままにして下さい」と言ったことがある。そのとき、もみあげだけが異様に長かったことがあった。 3人の散髪は大体同時に終了した。只野は、散髪の時間というのは年齢によらないのだと思った。 3人で3,675円、約20分である。只野は、床屋ぐらいは家計に貢献していると思った。