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大福の日日是好日

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大福16

大福16

2005年05月03日
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カテゴリ:楽しい生活
「百選」といえば、
「日本の名水100選」
「日本の景色100選」
「日本の滝100選」
「ふるさとの駅100選」
などなど、様々な百選が思い浮かぶでしょう。



 ご存知かもしれませんが、法律の世界には、裁判の判決を集めた判例集があります。
 これには民法判例百選とか、刑法判例百選という比較的メジャーなものから、交通事故判例百選、保険判例百選などというその業界の人しか読まないマイナーなものまで色とりどりのコレクションがあります。
 これらの判例集、「百選」と謳っておきながら、その実、100以上も判例が収められている奥ゆかしい本です。

憲法百選1
憲法判例百選(1)第4版 ( 著者: 芦部信喜 / 高橋和之 | 出版社: 有斐閣 )



 今日は憲法記念の日ですので、憲法判例百選の中から私の好きな裁判例をご紹介しましょう(え!?誰も聞きたくないって?)。


 牧会活動事件 神戸簡易裁判所 昭和50年2月20日 判決

[事案]
 建造物侵入等の事件の犯人として警察が捜査中の高校生二人を、教会教育館に約1週間にわたり宿泊させた牧師の行為は、犯人蔵匿罪に該当するとして起訴された。

[要旨]
 ・・・(被告人の本件牧会活動は)専ら被告人を頼って来た両少年の魂への配慮に出た行為というべく、被告人の採った右牧会活動は目的において相当な範囲にとどまったものである。
 ・・・(また)被告人の本件牧会活動は手段方法においても相当であったのであり、むしろ両少年に対する宗教家としての献身は称賛されるべきであった。
 以上を綜合して、被告人の本件所為を判断するとき、それは全体として法秩序の理念に反するところがなく、正当な業務行為として罪とならないものということができる。

[判決]
 無罪

(※牧会活動・・・個人の魂への配慮を通じて社会に奉仕する活動) 


 この牧師さんの行為は、宗教家として当たり前といえば当たり前なのかもしれません。
 しかし、自分の信条を貫く行動をとったことに感動しますし、判決も血の通ったものと思いました。
 いざというとき、自分の信条を貫けるか・・・正直になれるか・・・謝ることが出来るか・・・自分の身を構わず行動できるか・・・日頃から覚悟を決めておかないと到底出来ないことです。


 もっとも、宗教家が逃亡者を匿うことは昔からあったことで、鎌倉時代の執権、北条泰時の帰依を受けた明恵上人もその一人です。
 この帰依を受ける原因になったのが、承久の乱(後鳥羽上皇VS北条義時)。

 この承久の乱、結局、後鳥羽上皇が破れたのですが、その上皇軍の敗走兵の中に明恵上人のお寺に逃げ込んだものが相当数いました。
 明恵上人はそれらを匿います。

 このことは当然、北条方に知られることなり、明恵上人は捕らえられて泰時(義時の長男)直々の取調べを受けることになりました。

 しかし、明恵上人は毅然とした態度で
「高野山は仏教の霊地で、殺生は禁断であるから、猟師や追われた鳥や獣でも、逃げ込んでくれば命を助けてやらねばならない。まして、敵に追われたとはいえ、逃げ込んできたのが人間であれば、どうしてこれを拒むことが出来よう。
 それがいけないとあれば、まず拙僧の首をはねられたがよい。拙僧は自らの命よりも、出家としてなさねばならぬ使命を全うしたい」と言い放ちました。

 この命をかけた発言にいたく感服した泰時は、罪をとがめるどころか、かえって上人に深く帰依したそうです。


 私は俗物ですし、ここまでの覚悟は一生できないでしょう。
 ただ、ほんのわずかでも、この覚悟を持てば何だって出来ると思います。
 もちろん、この覚悟を持つことと、常日頃、悲壮感を漂わせることとは全く別です。
 日頃は楽しくなるよう心がけ、また工夫もしますが、いざというときの覚悟が出来ていれば、同じことでも楽に感じるでしょう。
 反対に、覚悟ができていなければ、どんなささいなことでも辛いものになるでしょうね。  


 憲法記念日に憲法判例を思い出し、新たに覚悟を決めた一日でした。

憲法百選2
憲法判例百選(2)第4版 ( 著者: 芦部信喜 / 高橋和之 | 出版社: 有斐閣 )

 上記の判例百選は「1」で、こちらは「2」。
 載っている範囲が違います。
 条文を素読しても眠ってしまいますが(笑)、判例は具体的な事件の下で条文を解釈していますから、分野によっては面白く(?)読めます。





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最終更新日  2005年05月03日 23時32分44秒



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