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カテゴリ:楽しい人々
高校2年生の時、英語の教科書で「After ten years」という短編小説を読んだ。
粗筋は次のようなものだった。 舞台はアメリカのある街。 警察官がパトロールしていると、暗がりに一人の男が立っていた。 何をしているのかと聞くと、「友達と待ち合わせをしている」という。 その男はタバコに火をつけながら話した。 「オレは昔、ある親友と約束をした。お互い大きなことをして、10年後の今日、この時間、この場所できっと会おうと。この10年間、色んな場所で危ない仕事もしたが、この約束を忘れたことはなかった。オレは、この日のためにここに帰って来たのだ。・・・そろそろ約束の時間だな」 「きっと会えると思うよ」警察官はそう言ってパトロールに戻った。 しかし、その後しばらくして、その男は警察に逮捕された。 実はこの男、指名手配中のギャングの一味だったのだ。 そして、逮捕された警察署で一通の手紙を受け取る。 それは、何と待ち合わせをしていた親友からの手紙だった。 「私もこの10年間、約束を忘れたことはなかった。私は今、警察官になっている。さっきの警察官は私だった。マッチの明かりで君の顔が分かった時には心臓が止まりそうになった。しかし、私は警察官である以上、君を放っておくわけにはいかなかった。」 とまあ、大体このよう内容である。 ここで、警察官である親友の取った行動の是非は論じない。 高校2年生の私は、単純に「これ、やろう!」と思った。 そして、同じクラスの親友に提案した。彼は快諾してくれた。 この親友「四郎」は、同じクラスで部活(サッカー部)も同じだった。 考え方や価値観は違うのだが、メチャクチャ気が合ってよく一緒に遊んだ。 何時間でも話した。今でも年に1回は会うし、会えば高校時代の二人に戻る。 で、「いきなり10年後というのは、ちょっと長いから、はじめは3年後にしよう。今17歳だから、20歳の12月24日、いや、その頃は何か用事が入っているかもしれないから(笑)、25日の夜8時、あそこの神社の手水舎のところで手を洗いながら再会しよう!」と約束した。 10年という月日は今でも長いが、17歳当時の10年先は、全く見当も付かないくらい長い。 したがって、「After three years」にした。 そして、1年後。 クラス替えで四郎とはクラスが別になった。 それでも部活で会ったり、図書館で一緒に勉強したりした。 もちろん、それ以後、お互い約束のことを口にしたことはなかった。 定期的に約束を確認しながら再会したのでは、いわゆる「スケジュール」になってしまう。 2年後。 私たちは高校を卒業した。 四郎は大学生(県外)となった。私は浪人生となった。 そして、3年後。 四郎が大学2年生。私が大学1年生(県外)となった。 つまり、約束の時が来た。 12月25日は他にどんな約束もしなかった。男と男の約束が優先する。 そして、「After three years」の当日、私は約束した神社に19:45頃から行き、冷たいながらもウケ狙いのために、ひたすら手を洗い続けた。 四郎が現れれば、3年前の約束どおり手水舎で手を洗う私の姿を見てウケるに違いないと思ったからだ。 しかし・・・。20時になっても、20時を過ぎても四郎は現れない。 「After three years」は実現しなかった・・・。 このまま帰ってもよかった。 そして、電話で四郎を呼び出すのは本来の趣旨ではなかった。 でも・・・しかし、彼の状況を確認したかった。 公衆電話から四郎に電話をかけた(携帯は猫と杓子と高校生は持っていない時代)。 四郎の実家に電話をした。・・・・・・・・いた。 ・・・彼はテレビを観ていた・・・。 大福 「今日は何の日か分かる?」 四郎 「クリスマスじゃないの?」 大福 「まあ、そうだけど。でも、何で家にいるの?」 四郎 「・・・え?何で? そして何でそんなに残念そうな声してるん?」 ということで、事情を説明したら、彼は約束を思い出したらしく、それからチャリで駆け付けた。 すっごく謝っていた。 来るか来ないか分からないスリリングな楽しみもあるので、約束を失念していたとしてもそれはいい。 3年越しの約束をしていたこと自体が満足だった。 そして、結果的に約束の場所で再会を果たせたことも嬉しかった。 約束の存在をお互いが覚えていただけでも(言えば分かる状態だったので完全に忘れていたわけではないと認定)、秘密の共有的な愉しさがあった。 それから、寒かったけれど、神社の境内で缶コーヒーを飲みながらお互いの近況を話し合った。 嗚呼、青春。 今年の年末、都合が合えばまた会おうね。 そして、今。 大学時代の親友2人と2000年に約束をしている。 10年後の某月某日某時間にあの場所で会おうと。 次回こそ、正真正銘の「After ten years」である。 でも・・・きっともう、忘れているだろうなぁ。。。 あと5年。私は必ず行く。 それまでに、大きなこと、とは言わないけれど、自分を磨いて、色んなことを積み重ねて、みんなに顔向けできるように成長するからね。 約束の場所で再会できたら嬉しいけれど、会えなくても構わない。 一人で佇んで思い出に浸る。 そして、もしも、会えたら・・・また昔に戻って一晩中語り明かそうね。 ベラール コート・デュ・ローヌ ヴィラージュ 1995←After ten years お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年12月12日 22時21分56秒
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