シャガが咲いてます。画像あり。小説「見果てぬ夢」9
シャガという山野草です。近所の牧場の方に頂きました。林の中でも咲いてるので、日陰にも強く、どんどん増えます。神社やお寺などの下草によく使われているようです。お陰で、同じ場所に地植えしたすずらんも、いつのまにか無くなってしまったほどです。旺盛な生命力には似合わず、可憐な花で、白に淡い模様が入って、はかなげです。毎年咲いてくれる宿根草なので、春になると、花が咲いてくれるのが嬉しいです。冗長な会話から一転?あら筋のような感じですが、読んでみて下さい。14年以上前に書いたので、もう開発されてる技術もあるかも・・・ 「見果てぬ夢」9 時を経て、べスは科学研究所に勤めることになった。ジョンは定年間近で協力することは出来なかったが、陰ながら応援していた。ローリーは故郷の町に帰り、機密の仕事に携わりながら、自分の研究をひそかに続けていた。二人は決して約束を忘れて訳ではなかった。つまずき、あきらめかけても、約束を思い出し、負けるものかと自分に言い聞かせていた。 研究はなかなか思うように進んでいなかったが、着実に基礎研究はしていた。べスは人間から遺伝子を取り出し、それのみで培養する技術は出来ていない。だが、遺伝子をロボットに組み込む技術は出来ていない。それどころか、組み込むべき人造人間すら、完成してなかったのである。べスの専門はバイオ技術だった。人工臓器、人工血液は出来ても、人工脳は出来ない。ましてや増殖する人工細胞など夢のまた夢だった。いつになったら人造人間が出来るのか、気が遠くなる思いだった。もちろんその研究だけしているわけではない。科学研究所の研究員としての仕事も果たさなければいけない。自分の研究は、主に自宅の研究所に持ち帰ってのことだった。実験道具は父に援助してもらい、少しずつ揃えてはいたが、とても足りない。研究所に勤めてる関係で安く手に入るとはいえ、高価な器具は手が届かない。このテーマを正式な研究として認めてもらおうとしても、人間、ロボットどちらからも異端の目で見られる。それぞれの誇りがあるだけに、中間の人造人間など許せないのだ。 その頃は、既にロボットの地位が向上し、彼女以外に現役で、人間の研究員はいなかった。あとは科学研究所の所長などの管理職、といっても名誉職だが。他には、定年間際で実際にはもう研究をさせてもらえない人間達。その中には、べスの父親も含まれていた。父の世代以降は、もう人間の研究員はずっと採用されていなかったのだ。べスが研究員になれたのは、人間ながらも大学院を卒業し、その論文が認められたからだった。論文の題名は「人間の未来」。「人間は退化し滅亡する。ロボットの時代が来るであろう、その日の為に人間とロボットの合いの子である人造人間を作り、子孫を残す必要がある。人造人間に人間の遺伝子を組み込み、人間の今まで歴史を残すのだ。恐竜の一部が鳥に進化し、生き永らえたように。」 論文は科学研究所の所長の目に留まり、趣旨に感激して強引に採用した。最後の人間の研究員として。ロボットはおろか、人間までも、単なる所長の感傷に過ぎないと非難したが、これが所長としての最後の決断だとべスを推し通した。父ジョンとも友人であるため、縁故採用とも言われたが、べスの優秀さは皆も認めざるを得なかった。だが、それも人間の中では優秀というだけで、ロボットとは比較にならない。 べスは論文が認められたと思い、研究を続けようとしたが、執拗な妨害に遭い、自宅に持ち込んだ。正規の研究とは認められず、個人的な研究とみなされたからだ。かえって、採用条件の論文のテーマとして知られていただけに、反感を抱かれてしまったのだ。人間、ロボットどちらからも、「こうもり」扱いされる始末だった。ただ一人の理解者は、父ジョンだった。ジョンも最初は反対していたが、べスの熱意に負け、またそうしなければ人間は滅びると痛感していた。 他の人間はまだ、ロボットに寄りかかったままで生きられると信じていた。ジョンがいくら人間の滅亡の危機を説いても、耳を貸そうとしなかった。ドームの中は人間の楽園と高をくくり、安楽をむさぼる生活を送っていた。その間にもロボットは着々と改良され、進歩していった。ロボット達の手によって。人間は必要悪とされていた。ロボットを操るホストコンピューターがなければ、とっくの昔に、人間はロボットに滅ぼされていただろう。そのホストコンピューターでさえ、今はロボットに管理が委ねられていた。反逆の意志を持たない従順なロボット達の中にも、少しずつ疑問を抱くものが出てきた。