カテゴリ:ローマを散歩
イタリアも冬時間になって数週間、日はだんだんと短くなり、夜にはしんしんと足元が冷えます。 暖かい編み靴下が欲しいなぁ、できれば滑り止め付き。 外に出て空気を吸えば、暖炉で燃える薪の香りが。 猫達も丸まりだし、ローマもそろそろ冬支度。 道にはクリスマスのちっかちかが姿をあらわしだす時期です。 そんな今日は、ローマのロマンチックな散歩道を歩いてみましょう。 そう、「非カトリック教徒墓地」。 えっ、お墓? と思うかもしれませんが、ここがまたローマの喧騒から逃れられる、数少ない静かな憩いの場。 きれいに手入れされた庭と広い芝生に、美しく装飾された大理石の墓石が点在しています。 イタリアで人気のライター、Corrado Augiasが書いた「I segreti di Roma」(ローマの秘密)という本の旅は、まさにこのお墓から、「ローマで一番ロマンチックな場所」というフレーズと共に始まります。 庭師のおじさんが撒く水と遊ぶ庭の主、カミッラ。 Cimitero degli Stranieri 外国人墓地 Protestanti プロテスタント教徒墓地 Artisti e dei Poeti 芸術家と詩人の墓地 と様々な名称を持つこのオアシスは、Porta San PaoloとTestaccio地区の間、Piramideにくっつくようにして在る。 古くから市民の憩いの場であった所で、8~9世紀には「ローマ市民のピクニック場」として親しまれていたが、784年にはすでにプロテスタンテ教徒の墓地として使われ始めたよう。 バチカン国法によると、非カトリック教徒は決して教会に葬られることはなく、埋葬の儀は夜間にのみ行われていた。 こうした休息の場のない人達が集まってきたのが、この地でした。 1817年、プロシアとロシアの外交官の願いにより、バチカンがこの土地を墓地として柵で囲み、1894年にはドイツ大使館が買い取り、その後4300ヘクタールの土地を加え今現在の姿となる。 Antonio Gramsci(イタリア共産党創設者の一人)、John Keats(英国のロマン派詩人)、Shelly(英国の詩人)も、ここに眠ります。 皆ローマで人生のひと時を過ごし、ここに留まることを望んだ人々。 修復作業。排気ガスが大理石の表面に積もることによって黒く固まってしまう層の削除。 どこか遠くの世界からやってきたの? って服装ですね。 実はこの墓地、私にとっては個人的にも大切なところ。 ローマの修復学校を卒業したあとしばらく、この墓地の修復責任者のもとで大理石修復の修行をさせてもらいました。 朝早く、まだ植物から露が滴っているころに墓地に着き、ここの主である猫カミッラに挨拶をしたら皆でコーヒーをいれ、さて仕事に。 未熟な私達に辛抱強く教えてくれたリタには、とても感謝しています。 夫とのイタリア食品の仕事と平行し、この経験を活かした何かをしたいなぁ・・・と、今いろいろ計画しているところ。 排気ガスによる汚れを取り除いた、修復後のレリーフ。この美しい花束が好き。 ロシア正教徒、仏教徒、プロテスタント、イスラム教徒・・・・ 世界中の人々が、そしてローマを愛した人々が、宗教の違いも気にせずに安らかに眠るこの緑の空間。 様々な「ちがい」によって引き起こされる世界中の悲劇を見ていると このオアシスに走りたくなる衝動にかられます。 カミッラに会いに。 Cimitero Acattolico via Caio Cestio, 6, Roma 月から土曜日 9時~17時 Corrado Augias "I segreti di Roma" (Mondadori, 2005)
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Last updated
Nov 17, 2007 09:58:35 PM
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