弟よ、左端の掛け軸、「眼の横に鼻血」って書いてある?(by長兄)
書いてねーよ!(by末弟)
■第二十四章 交喙■
「天地人」を見ていない人には何のことやらまったくわからない──であろう、
【GW天地人行】
──以下、意味不明な文章が並びますが、この文についての解説はぜひ黒井蓮華さんの日記をご参照ください←文責丸投げ──
里山をこよなく愛する長兄の号令一下、今年はGWに山中へと繰り出しました。
山渡る人々は、今年は五月と九月に越後は南魚沼郡付近を通過します。
越後は今、春たけなわ。山が笑い、つくしや杉の子が競うようにして生え揃います。春とはいえ、越後三山には残雪が残り、雪解け水の流れる小川は指を切るような峻烈な冷たさ。そんな中で鮎をとる「ヤナ」を作るための足場を組んでいきます。
梁漁(やなりょう)とは、川の中に足場を組み、木や竹ですのこ状の台を作った梁(やな)という構造物を設置し、上流から泳いできた魚がかかるのを待つ漁法で、弥生時代から伝えられているといわれているものです。
すのこは上流側に傾いて設置され、上流側では水中にあり、川下側では水面にあります。川の水はすのこを通って流れていくので、上流から泳いできた魚はすのこの上に打ち上げられるというわけです。
打ち上げられた魚を子供たちが「きゃーきゃー」いいながら、別の場所に張った「生け簀」の中に次々に入れていきます。
翌日の山歩きは、「物語はこの地から始まった」(byNHK)雲洞庵から板戸城まで。
雲洞庵に着いた途端、「わしはこんなところに来とうはなかった!」と墨書きされた手拭を額に結び、衆目を集める長兄。
「アンタが連れてきたんだろーが!」とすかさず全員からツッコまれる。
(世が世ならば、この時点でわが一族は連座の末、全員死罪決定──これについては前回のコメント欄後半をご参照ください^^)
ツッコまれつつ首を傾げ、何を思いついたかアバウトな質問をしてくる兄。
「あれっ!? 小夜って“与六”を主人公にした物語書いてなかったっけ?」
「書いてねーよ!」“与一”だっつーの!
気を取り直して──
雲洞庵は、上杉景勝遺墨、武田信玄書状、直江兼続制札などなど、名だたる戦国武将の書簡多数を所蔵する宝物殿を惜しみなく開放しているほか、「座禅の格好をして写真を撮ってもいいよ☆」コーナーがあったり、重厚な歴史に裏打ちされつつも、善男善女に開かれた禅寺であることが好印象とともに伺えます。
さて、この雲洞庵において、わが子が最も食いついた事象は「桂の木」でした。
なんでも、雲洞庵にせまる山のきわに立つ女桂の大木と、庭園の池のほとりに立つ男桂の巨木の間には、四百年もの間、子供が生まれなかったそうなのですが、なぜか二十年前から突然にたくさんの子供が出来ました。女桂の前には今、子桂の木で林が出来ているほどです。
四百年の恋が実ったということでしょうか──感慨にふける娘。
お父さーん!
お母さん☆と子供たちv
それはともかく、「坂戸城が見えてるから、今から尾根伝いに登っていこう!」と言い出した兄を止められるものは三千世界に誰もない──
ここで「天地人」第二回のエピソードについての所感なのですが、雲洞庵から坂戸城は「見えている」んですね。
五歳の男の子(与一ではなくて与六)が「わしはこんなところに来とうはなかった」と雲洞庵から雪の中を坂戸城のある自分の故郷まで「帰宅」できたというのは、TVを見ていて疑問に感じていたのですが、方向さえ間違わなければ、「あり得ること」だと感じました。
雲洞庵から坂戸城をのぞむ
またぞろ長兄の号令一下、全員で移動している最中にオットが一歩先を行く私の肩を叩く。
「なに?」
「ここ、ここ」
立ち止まって、地面を指すオット。
なんとソコには、ほんまもんの樋口一葉さんが!!!
樋口与六に続き、樋口つながり!?
正真正銘の五千円札です。
「山の管理課に届ける?」などと言い出すオット。
ばかもーん。これは山の神様がくれたものだということがわからんのか!
山の管理課に届けようが、今はそんなモンどこにもない場所なので、とりあえずはオットがポケットにしまっておくことに──
さて、その後すぐに「姉さん大変なことが起こりました!」
深山の崖の中腹を過ぎようというとき、
「助けてください…」という細い声が。
そーゆーコトにも慣れている一族なので、男たちが調伏師の顔をちらりと見合わせたところで、
「あ…足を…折ってしまって…」
と草むらから上半身を起こしてきたのは、トレッキング装備をした青年(←注:生きているヒト)。
そうとわかれば、こちらは歴代のガキ大将および副将をつとめあげた集団──ということは、怪我をした友人を背負って山を降りることなど、雑作もなくやり遂げてしまう気概を持っているヒトビトだということ。
ひとまず携帯が入る山麓まで降ろして、あらためて山岳救護を要請しました。
電話をしたのはオットだったのですが、
「あなたが怪我をしたご本人ですか?」と先方に問われ、
「いえ。怪我をしたのは○○さんという男性です」と答えると、
「では、あなたは○○さんとどのようなご関係の方ですか?」と聞かれ、
「関係っ!?──ええっと…わたしは……」
なぜか戸惑うオット(笑)。
ほどなくして4人のレスキュー隊員を乗せた救急の車が到着し、その場で男性に応急措置をした後、地元の病院に向かったようです。
車中から兄たちに向かって頭を下げる男性。
私たちも手を振って送ります。
思わず、声をかけていました。
「GWの初っ端にこんなことになってしまって大変だとは思いますが、これで厄落としになったと思えば──これからは、きっといいコトありますよ」
「この山の中で皆さんに助けてもらったことが、僕の最大の“いいコト”でした」
にこやかにそう言っていただけて嬉しかったです。
あの怪我の様子だと今は松葉杖だと思いますが、どうぞお大事に──
「じゃっ、も一回のぼろっ!」
山を見上げ、笑顔で振り返る長兄を誰かとめてくれ。
で、仕切り直した山登りの道中に、何度か人の出入りが。
物静かな青年が深山の中から忽然と現われ、同行の列に加わったりする。
「どちらからいらしたんですか?」と私が聞けば、
「僕は木こりです」などと答えます。
彼は子供たちにそっと声をかけると、ひときわ大きな木の幹を見せ、そこに疵が付いていることを確かめさせます。
「この疵は、熊の爪の痕」と木こりの彼は言い、
「大きな木に疵を付けておくと、それが二百年後くらいに木の洞になるから──未来の子孫のために、熊は毎年、これと決めた木に疵を付けていく。四世代か五世代の後、木の疵は洞となって、それが熊の冬眠の巣穴になる」
今、木に疵を付けている熊もまた、二百年前の先祖が付けた疵が洞になった巣穴で暮らしている。
考えてみれば、エコロジーとは地球環境に優しいだけでなく、未来に対しても優しいものであるべきだと思います。
私たちは、熊の循環性に学ぶべきものがあるようです。
さてさて。
そんなこんなで、山の管理事務所に5千円札を届けるのを忘れてしまった!
循環エコ、と言ってはナンですが──樋口さんを元手にして、「Forest Inn」という石釜ピザ&バリスタを備える本格イタリアンレストランで思いっきり豪華な打ち上げをさせていただきました☆ トマトクリームとウニのパスタが最高だった!
毎日温泉三昧の日々だったのですが、その中のトピックスとしては『天地人』第7話で兼続がお船のお伴で訪れた温泉地、大湯も入りましたv
みんなより先に出たオットが、さらに先に出ていた姉に、
「バーに行ってくる」と言い残して立ち去ったまましばらく帰らないというので、すわ「神隠し」に遭ったかと大騒ぎに。
私は、「バー? めずらしいこともあるもんだ」などと思っていたのですが、探していた兄が、この温泉施設内に「バー」というもの自体がない!ということをフロントで聞きつけてきたので、またひとしきり物議をかもすことに。
結局、オットがいっていたのは「酸素バー」だったということで一件落着
(↑子供たちが「ゆんゆんが酸素マスク付けて意識がないようだ!」と言って見つけてきてくれた)
団体行動中における単独行動は厳に慎みましょう。
(長兄もグレートマッキンリーにおける単独登頂は厳に慎むべし。ニュースになりたくなければな)
こちらは元祖、山渡る者──■第二十四章 交喙■
◆応援ありがとうございます!
次回更新は6月1日(月)●水神●です。
天草四郎という少年も、こうして大人たちに「作られて」いったのでしょうか─
5月29日、今日は授業参観! シェイミ(ランドフォルム)のお弁当v
5月28日、槙のむしくん、仲良くしてね弁当v
プチトマトはむしくんのおかげで虫食いになってます☆
槙の木というのは──娘が校内で「わたしの木」に選んだ木です^^
槙の木さん、どうぞ十二年間、娘の成長を見守ってください。
◆以下、順次こちらのアルバムに収めてあります☆
よろしかったらぜひ遊びにきてください^^