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山口小夜の不思議遊戯

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2010年08月14日
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             これはぼくらの叫びです
             これは私たちの祈りです
             世界に平和を築くための

 世田谷平和美術展

 私たち日本人は、8月に限らず、いつも先の戦争について思いを巡らすべきだと思うのです。そのよすがとなる時節はたくさんあります。12月の開戦の日、3月の東京大空襲の日、5月の沖縄占領の日、硫黄島玉砕、南方戦線壊滅、そしてそれぞれの地域の空襲の日──
 ただし、日本が敗戦した8月15日にとくに戦争について考えることは、決して無益なことではないでしょう。

 実は私はまだ、みのりに「戦争」という事実があること自体を教えていません。
 みのりが幼稚園の頃、まだ幼いうちに戦争の事実を伝えようと、沖縄の南部戦跡に向かおうとして──車を運転していたオットの方が、ある一定の地域に入った途端に「うわ。ここからは…よう行かれん」という事態にみまわれ、あえなく断念、という事件があってからというもの、子供に戦争を伝える機会を逃してしまっていたのです。
 「ちいちゃんの影おくり」や「ガラスのうさぎ」「うしろの正面だあれ」など、子供向けの戦争の本もありますが、戦争に関してだけは、やはり絵本を読むだけでは理解が及ばないと思うのです。子供の心の中には「戦争」という概念すらないからです。

 「戦争を知らない」ということは素晴らしいことですが、私たち戦争を知らない子供が身近なおじいちゃんおばあちゃんから「日本が戦争をした」ことを知ったように、わが子の世代もいつか「太平洋戦争」について知ることになるでしょう。ですが、その時には実際に戦争を体験した「おじいちゃん、おばあちゃん」から事実を聞くことのできる子供は、さらに少なくなっているはずです。「戦争を知らない子供たち」が、さらに「戦争をしらない子供たち」に事実を伝えていく難しさを、私たちは身をもって知ることになる世代に当たっているのだと思います。

 こうした中で、私のチーフこと青葵さんが大きなきっかけを下さることになりました。
 8月10日(火)から15日(日)まで世田谷美術館区民ギャラリーA室で開催されております「世田谷平和美術展」に青葵さんの連鶴の作品が出品されることになりました。
 
 青葵さんによりますと、この美術展に出展することになったきっかけは、まさに「ご縁」そのものだったそうなのです。
 青葵さんは今年の1月9日にご結婚されました。披露宴のお席にあった連鶴を、私は今でも大切に飾っているのですが、その会場には青葵さんお手作りのさらに大きな連鶴がテーブルに飾られていました。桃色の布の上に飾られてあったのですが、その布は、青葵さんが前日までいろいろと悩んだ結果、最終的に「これ!」と思って選んだものだったそうです。青葵さんのお母様の知り合いの織作家さんのもの、ということもあり、結婚式の日に更に暖かさをそえてくれるのでは、とお考えになってのことと伺っております。

 そして、式の後、青葵さんのお母様がその織作家さんに、当日の写真をお送りしてお礼を申し上げたところ、その方が、鶴にとても興味を持ってくださったそうなのです。
 和田薫子さんという方なのですが、その方は毎年この「世田谷平和美術展」に出展なさっていて、たまたま今年の事務局打ち合わせの時にその写真を持っていき、事務の方に見せたところ、「今年は、同時開催で『サダコと折り鶴』ポスター展もあるので、鶴も展示してはどうか」と事務局の方が話し合って下さったそうなのです。
 
 そして、最初は、和田さんの織りの展示の一部にちょっとだけ置かせていただく、という予定だったのですが、和田さんから「お一人で一つコーナーをお持ちになってはいかが?」とご提案いただき、今回の出展の運びとなったと伺いました。

 青葵さんはこの一連の出来事に、心底からご縁をお感じになっていらっしゃいます。
 結婚式の時に、和田さんの布を使わなかったら。
 今年の平和美術展の同時開催が『サダコと折り鶴』の企画ではなかったら──でも実際は、青葵さんは和田さんの布を選ばれ、平和美術展の企画は「折鶴」に関連したものでした。
 きっと「原爆の子」のモデルとなった佐々木禎子さんが、どんなにか平和を皆様に祈ってもらいたいと思い、引き寄せたご縁だったのでしょう。
 「原爆の子の像」といえば、こちらの日記のどこかに書いたかもしれませんが、聖マグダレナ女子学院の修学旅行先が広島と津和野だったため、行きの新幹線の中で沈黙しながらみんなで千羽鶴を折ったことがありました。出来上がった千羽鶴は、広島の原爆の子の像の前に捧げられました。禎子ちゃんの物語は小学生の頃に読んでいました。一緒に目を通していた私の母が「禎子さんとママは、同い年なんだわ」と言ったことが心に残っています。高校三年生でこの像を目の当たりにして、禎子ちゃんが生きていれば、ちょうど私たちくらいに成長した娘がいて、しあわせに暮らしていたはずなのだと胸がいっぱいになってしまいました。

 青葵さんはおっしゃいます。
 「これはなにか、平和への祈りを、私の小さな手の中から少しでも広げていきなさい、というお告げなのかしら、と思っております。この展示会は事務局の皆さまも本当にボランティアでやっていらして、新参の私としては、皆さまの平和に向ける思いにただ頭が下がるばかりです。そういう皆さまの展示に、多くの方に触れていただけたら、小さな動きでもまた少しずつ平和への願いが広がっていくことでしょう」

 青葵さんは私の大学の同級生で、同じサークルで活躍なさった方です。そして、みのりの大先輩でもいらっしゃいます。大手広告会社のキャリアでありながら、ビーズ細工、書道、折り紙のプロであり、おせち料理もすべて手作りなさるというスーパーウーマンでいらっしゃいます。青葵さんのHNは家紋からお取りになっていらっしゃることからもわかるように、伝統の美をそのお姿からかもし出されている方です。
 青葵さんの作品に触れるだけでも、私たちは心が洗われたような心地になることでしょう。
 青葵さんの祈りを、禎子ちゃんの願いを、私たちもしっかりと受け止める夏にしたいです。
 平和について、難しく考える必要はありません。マザーテレサも言っています。「平和はあなたがたの家庭からはじまる」と。
 そして善き家庭に育まれた私たちの次の世代が、いつの世にあっても核兵器の前に折鶴を掲げて立ちはだかることができるように──

 最後に、これはチャンピの体験なのですが、ぜひ皆様にご紹介したいお話です。
 戦争と平和に関する番組で、チャンピがある特攻隊員の声を当てることになりました。知覧から飛び立つ前日に、若い父親が一歳になる娘に宛てた手紙を読む、というものです。

 「素子へ 素子は御父様の顔を見てようく笑いましたよ。父の腕の中で眠りもしました。お父様はおうちを出るとき、素子の大好きなお人形をひとつ、戴いてきました。明日は御父様の乗る飛行機に、そのお人形も乗せていきます。ですから、素子と御父様はこれからもいつも一緒、ということです」

 この手紙をOKが出るまで読み上げる作業は、頭がおかしくなるかと思うくらいつらいものだったと言っていました。収録が終わってしばらくしても、この手紙のことが頭から離れないでいると、ある不思議な出会いに恵まれたと言います。
 それからしばらく経ったある日、チャンピが田舎の旧家を訪ねる用事があって赴くと、その家のご主人は学徒出陣で硫黄島にぎりぎりまでとどまった方だったのです。しかも、その碁仇として紹介された段々畑でじゃがいもを作っていたおじいさんはなんと、終戦の折、知覧の海軍の特攻隊にいたというのです。

 「じゃ、じゃあ、植村眞久さんを知ってますか」
 「知ってるもなんも。植村隊長だろ。だがあちらは帝大出身の将校さん、話しかけるなんてとてもとても。終戦直前、二十五歳の若さで部隊を率先して出撃されて…そういえばあんた、植村隊長に年格好が似てるの。とくに声がそっくりだ。隊長のことを切り出すくらいだから、親戚かなにかか」
 「親戚とかではないんですけど…ちょっとご縁があって…」
 「それより兄さん、その声でわしをモリモトと呼んでくれんかな」
 
 チャンピが「久しぶりだな、モリモト」と声をかけると、おじいさんは両手で顔をおおってむせび泣きました。嗚咽の下から「隊長、御苦労様でございました」という言葉が何度も漏れました。
 そのおじいさんとの会話は、それからずっと続きました。夏の初め、なんだか不思議な一日だったと、チャンピは言います。でも家に帰ったとき、なにかに癒されたかのように気持ちが持ち直っていたそうです。ご縁を結んでくれた植村隊長に感謝をしていると言っていました。
 終戦のとき一歳ならば、植村隊長の一人娘の素子さんは、やはりチャンピや私の母と同い年です。その後幸せにお暮らしでしょうか──

 

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最終更新日  2010年08月14日 07時37分46秒
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