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山口小夜の不思議遊戯

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2011年05月25日
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                  みなさんこんにちは! 
      お腹の中にいたときから見守ってくださっていた、私しおんです。

 4月16日、愛、燦々とが我が家に寄って、その後仙台へと戻っていきました。
 ミニ燦々との新しいクラスは「ひかり組」(笑)。男の先生だそうな。
 がんばれ! ミニ燦々と!!!

 【映画「うまれる」のご紹介】

 本日は以前に話題にさせていただいた映画「うまれる」のご紹介をさせてください。昨年末、まだ妊娠中にみのりと観にいった映画です。
 映画といっても脚本やセリフが用意されているわけではなく、完全なドキュメンタリーとなっています。本編の中では、「いのち」を見つめる4組の夫婦が登場します。

 両親の不仲や虐待の経験から親になることに戸惑う夫婦
 出産予定日に我が子を失った夫婦
 子どもを望んだものの授からない人生を受け入れた夫婦
 完治しない障害(18トリソミー)を持つ子を育てる夫婦

 結婚して1年の伴 真和(まさかず)(31歳)、まどか(31歳)夫婦のドキュメンタリーは、妊娠6カ月から始まります。まどかは幼い頃に母親から虐待された辛い経験を持ち、中学生のときに両親が離婚。母親とは絶縁しており、自分が果たして良い親になれるのか悩みながらの妊娠生活を送っています。
 母親との関係を消化しようと助産師の道を選んだのですが、いまだに答えは見つけられないようです。
 一方で夫の真和も幼い頃から両親の不和を見てきたため、まどかに出会う前は結婚願望もなく、子供がほしいと思ったこともありませんでした。そのためか、今も父親になるという実感を持てず、妻のお腹の子を「自分たちの副産物」と言ってはばかりません。

 このふたりが妊娠期間の10ヶ月を通して、実に豊かに、時にユーモラスに変化していく様子が、とてもほほ笑ましく、この映画に生き生きとした人間模様の彩りを添えています。
 買ってきたベビーカーをたためなくて四苦八苦している夫の様子や、陣痛に苦しむ妻に寄り添おうとして慌てて足を蹴ってしまい、いつもは穏やかな妻から「馬鹿っ」と一喝されるような場面がたまりません。全国の新米パパから絶大な共感を呼びそうなこのご主人^^ みのりが最も笑ったのも、この夫婦のエピソードでした。渾身の出産シーンを見せてくれるのが、このカップルです。
 生まれてきた娘のお世話をかいがいしくしながら、「お母さんも私のおむつをこんなふうにして替えてくれたのかな」とつぶやくまどか。母親との絆を再び見出そうとする、確かなまなざしがそこにはありました。

 二組目は関根雅(まさし)(32歳)、麻紀(31歳)夫妻。その第一子は冬のある日、出産予定日に突然お腹の中で亡くなってしまいます。深い悲しみの中で、死産で生まれてきた娘と写真を取り、冬でも強く咲くがゆえに「椿」という名前をつける夫婦。小さな小さな遺骨は、母の編んだ毛糸の筒に包まれます。
 ある日、夫婦のもとに「わたしがあなたを選びました」という本の著者である産婦人科医、鮫島浩二から手紙が届きます。手紙には、椿ちゃんからのメッセージが添えられていました──
 現在は第二子、あやめちゃんが元気に誕生し、夫婦には再び笑顔が戻っています。
 みのりが一番感じていたのは、当時私が妊娠中だったこともあり、お腹の子が万が一出産予定日にも亡くなってしまうことがあり得ること、椿ちゃんという印象的な名前──映画を見終わった後も、ふとした拍子に「椿ちゃん」とつぶやいていました。
 
 三組目の夫婦の奥さんの方は、私の学生時代から仲良しの先輩の親友です。
 松本哲(あきら)(40歳)、直子(41歳)夫婦は、妊娠8ヶ月のときにお腹の子が18トリソミーという障害を持って産まれることを宣告されます。迷わず産むことを選んだ夫婦は、虎大(とらひろ)ちゃんと出会います。
 18トリソミーは染色体異常による重い障がいで、うまれること自体が難しく、うまれても90%の子どもが1年以内に亡くなってしまうのです。でも虎ちゃんは数ヶ月、NICUに入院した後、奇跡的に病院を退院し、家族との生活が始まりました。
 立つことも歩くことも話すことも出来ない虎ちゃん。自分で食事を摂ることができないため、毎回の食事はチューブで直接、栄養分を胃に送っています。
 明るく、元気でおおらかな松本夫妻は、虎ちゃんとの暮らしを心底から楽しんでいます。なにより、虎ちゃんがとてもかわいい! 一年もたないと言われていた虎ちゃんは、現在2歳になりました。今年2月に非常に危ない状態になったのですが、お医者様による10時間の蘇生で奇跡的に一命を取り戻し、4月に退院も果たしました。虎ちゃんを応援する千羽鶴の輪が、静かに広がっています。

 そして、私がもっとも心を打たれたのは、子供を望んでも授からなかった人生を受け入れた東夫妻のドキュメントでした。
 東(あずま)陽子(47歳)は、日本でも有数の不妊治療の病院、ミオ・ファティリティ・クリニックの管理部長です。陽子自身も30代のときに9年間、不妊治療を受けた経験があります。最初の3~4年は「ワクワクしていた」と語る彼女。やがて「ワクワク」は焦燥に変わっていきます。そんな彼女を、優しく支える夫──
 今は子供のいない人生を受け容れながら、不妊治療の病院で力を尽くして働く彼女。
 その病院には、東夫妻の受精卵が9個、冷凍保存されています。
 何度体外受精を試みても、出産には至らなかった彼女。もう一回、もう一回、と貯めてきた受精卵が、あと9個。
 試験管を眺めながら、彼女は言います。
 「本当に子供が産めない年齢になって、本当に諦めがついたら、この子たちをひとりひとり私の胸で暖めて、旅立たせてあげようと思っているんです。今まで冷凍保存なんかして、長い間寒い思いをさせてごめんねって、抱きしめてあげながら見送りたいんです」
 彼女はもう、母親なんですよね。

 映画「うまれる」は、すでに上映を終えており、またとても小さな規模の映画だったために、皆様がご覧になれる機会を得るにはなかなか難しかったかもしれませんが、どうか心に留めておいてください。
 東日本大震災の後、私たちはよりいっそう「いのち」を見つめる眼差しが深くなっているはずです。生み出すこと、育てること、生きることにおいて、女性には女性の役割があり、男性には男性の役割があります。そして、そのどれとして同じものはなく、それぞれの人々のそれぞれの生き様として完結していきます。

 以下は前回の出産ドキュメントの中ではなく、こちらの日記で書こうと思っていた私自身のエピソードなのですが──

 しおんと一緒に退院するとき、初老のご夫妻と若い男性の三人連れとエレベーターに乗り合わせました。一階に着くまでのしばしの間に、初老の男性の方が声をかけてきました。
 「退院ですか?」
 「はい。そちらはご出産のお見舞いですか?」
 「ええ。もうダメだと思います」
 「…?」
 「子供は授かりものなので──こればかりはね」
 男性がつぶやくともなしにつぶやいたところで、エレベーターのドアが開きました。男性とその奥さんと、息子とおぼしき人は黙ったままお辞儀をして、一足先に外界へと出て行かれました。オットと私は何も言えずにただ黙礼して見送りました。

 私は、産科にお見舞いに来る人の中にはいろいろな事情のある人もいて、軽々しく「赤ちゃんを見にいらしたんですか?」と尋ねてはいけないことを知り、自分を恥じました。そんな私に、「子供は授かりものなので」と穏やかに返してくださった、その言葉が頭から離れません。本当に子供は授かりものだから、神様におまかせしながらも、人は全力を尽くして子供へと愛情を注がなければならないと思いました。
 
 虎ちゃん、そして私が退院時に出会ったご家族の生まれたばかりの赤ちゃんのために、どうぞ祈ってください。風薫る五月の、光さやけき六月の午後のいっとき、心を寄せてあげてください。








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最終更新日  2011年05月25日 14時14分44秒
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