『死にがいを求めて生きているの』朝井リョウ
「生きがい」の反対語としての「死にがい」かな?人は生まれ落ちた瞬間から死に向かって生きているから?なんて、勝手に妄想していたら、簡単に理解できるような単純な問題ではありませんでした。他人より目立つことを生きがいと思い込み、小さいころから勉強、スポーツ、学生自治運動などに夢中になり、目的が達成されると、やることがなくなり、不安でたまらなくなる、「雄介」と、幼馴染で親友の「智也」とは幼稚園から大学まで同じだが、全く逆の性格。「手段と目的が逆転している」と分かっていても生きがいがないと生きる価値がない、とか社会に貢献したい、という気持ちがなくならない。ここまで真剣に考えている人は知的レベルが高いのだと思う。多分、多くの人はこんな風に考えないと思う。目立ちたいと思う人はいると思うけれど、雄介の場合とは違うと感じるなーこの作品は「螺旋プロジェクト」という競作企画で、朝井リョウ、伊坂幸太郎など8作家があるルールのもと、古代から未来までの日本を舞台に、ふたつの一族が対立する歴史を描いたものだそうです。今作は「平成」時代を背景に、ふたつの一族である「海族」と「山族」の話が織り込まれています。次作は伊坂幸太郎の「シーソーモンスター」です。8作すべて読んだら1年以上かかってしまいそうです。死にがいを求めて生きているの (単行本) [ 朝井 リョウ ]