『黄色い家 』川上未映子
主人公の花が20年前に母の知り合いの黄美子、二人の少女と疑似家族のように暮らした日々を振り返る話。花が母と住んでいた文化住宅は風呂なしで共同トイレ。文化住宅とは名ばかり。貧困の連鎖は今も続く社会問題だ。貧乏から逃れるために家を出て、黄美子とスナックを始め自分でお金を稼ぐようになったが、火事で失ってしまう。黄美子のような知的障害すれすれの人は男でも女でも「金のなる木」として裏社会で利用されるそうだ。周りの大人が支援しないと簡単にシノギに行きついてしまう。黄美子の母は服役中、花の母は子供に無関心。カード詐欺の内容が詳しく語られるが、いちいち納得してしまう。通帳に何億円もある金持ちのカードを使うから、一日に50万円くらい引き出されても、本人は不正に気付かないそうだ。花のような子は今もいるのだろうな。黄色い家 (単行本) [ 川上未映子 ]