蒲公英(たんぽぽ)が読めなかった。恩田さんの世界感である「常野物語」の一作。
時は明治になり、にゅーせんちゅりーとやらを迎える頃。
日本の文化が否定されて、古いものは壊されていた時代。
無心に仏像を彫る永慶様と西洋画を勉強した椎名先生が、槇村家の聡子様を描く様子に時代が反映されれていて面白い。
「西洋の絵は今この時の聡子を描いておられます。この刹那、目に見える聡子の細かいところを正確に再現していらっしゃいます。でも日本の方法で描かれた絵は、もっと長い時間の流れを描いておられるような気がするのです。きっと、日本の絵は、西洋の絵のように見たままのものを描くのが目的なのではないのです。」
聡子様の言葉に集約されている。
エンド・ゲームで初めて恩田陸を読んで、光の帝国そして、蒲公英草紙にたどりつきました。順序が違っても単品で読んでも楽しめる作品です。
エンド・ゲーム 光の帝国
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
変わりゆく日々に少女が見たのは、時を超えた約束と思い。懐かしさと切なさの魔法がきらめく感動長編。
時は、海の向こうから「世界」の波がひたひたと押し寄せる20世紀の始まり。少女の暮らす村へ春田と名乗る不思議な一家が訪れる。彼らはいったい何者だろうか?少女が見たものは、時を超えた約束と思いだった。ー『光の帝国』より8年。常野の一族が帰ってくる!