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カテゴリ:新聞記事より
2006/07/11, 12:40, 日経速報ニュース 発表日:2006年7月11日 「浴室のこもったニオイ」は、排水口でなく、床や壁の汚れが原因 浴室のニオイについて意識実態調査と成分分析を実施 花王株式会社(社長・尾崎元規)・香料開発研究所は,家庭内のニオイ対策について研究をしています。 このほど家庭内の代表的な不快臭である「浴室のこもったニオイ」について、消費者意識実態調査と成分分析を行いました。 その結果、以下が明らかになりました。 (1)意識実態調査(首都圏在住主婦20~62才) ●「浴室のこもったニオイ」を気にしている主婦は44%で約半数いました。 このニオイの原因は、主婦の77%が排水口からのニオイ、62%がカビと思っているのに比べ、皮脂や汗と思っている主婦は24%と少なかった。 (2004年10月,396名調査) ●浴室の掃除状況は、浴槽内部をほぼ毎日掃除している主婦は55%で半数いるのに対し、床は18%、壁は5%の主婦しか毎日は掃除していない。 (2005年4月、87名調査) (2)ニオイの分析(首都圏在住主婦宅5軒、2005年7月) ●「浴室のこもったニオイ」の主成分は、アルデヒド臭をもつノナナールや酸臭をもつヘキサン酸などで、人の皮脂汚れが酸化分解した成分や汗に含まれる成分でした。 ●床や壁の表面のニオイは「浴室のこもったニオイ」と同じものが主成分でした。 ●しかし排水口のニオイは、菌やカビが関わる硫黄臭やカビ臭が多く、これより排水口は「浴室のこもったニオイ」の主原因ではなく、主婦の意識とも異なりました。 以上より、「浴室のこもったニオイ」の発生原因は、床や壁に残った皮脂汚れや汗汚れがこまめに掃除されていないためであり、対策としては床や壁の掃除頻度を上げることや浴室内の消臭が必要であることが分かりました。 この研究成果は、日本家政学会第58回大会(2006年5月26日~28日、秋田)で発表しました。 ■浴室のニオイの主成分(※ 関連資料を参照してください。) ■研究の目的 住宅と共に浴室も気密化が進み、「浴室のこもったニオイ」は、家庭内の気になるニオイの一つと言われています。 しかし、「浴室のこもったニオイ」については、これまでニオイ成分の詳細や発生場所などは明らかにされていませんでした。 そこで、今回、ニオイ発生の対策や消臭技術の開発を目的に、「浴室のこもったニオイ」に関して主婦の意識実態調査と共に、花王で開発した空気中に存在する成分を分析するエアロセント技術*を応用してニオイ成分分析を行いました。 本成果は、浴室の洗浄や消臭を目的にした商品に応用されています。 *エアロセント技術 : 空気中に漂う成分を正確に把握するために開発。 空気中から吸引した成分を、化学吸着法とキャニスター法(香り捕集容器)を併用して、高揮発から低揮発成分、非極性から高極性成分まで、広範囲にわたって定量的に捉える。 (参考文献:AROMA RESEARCH Vol.3 No.4 347-354. 2002) ■研究の成果 1.「浴室のこもったニオイ」や掃除に関する消費者意識実態 浴室のニオイと掃除の関係を考察するため、主婦を対象に意識実態調査を実施しました。 2004年10月の396名調査では、「浴室のこもったニオイ」を気にしている主婦は44%で約半数いました。 主婦が思っているニオイの原因は、「排水口からのニオイ」は77%の主婦が、「湯気や湿気」は62%、「カビ」は62%が原因と思っています。 しかし、「皮脂や汗」が原因と思っている主婦は24%と少ないことが分かりました。 2005年4月の87名調査では、浴室を浴室用洗剤でほぼ毎日掃除する主婦は、「浴槽の内側」は55%いますが、他の箇所は掃除頻度が低いことがわかりました。「浴槽の外側」は28%、「床」は18%、「排水口」は17%で、「壁」は5%に過ぎませんでした。 2.「浴室のこもったニオイ」の成分と発生源 2005年7月に首都圏在住主婦宅5軒の浴室のニオイを調べました。 ニオイ採集のタイミングは、調査前日までは浴室内は通常の掃除をしてもらい、調査前日の入浴後に浴槽の水を抜き,換気扇を2時間運転し、ドア閉鎖してもらいました。 採集は翌日の午前中に開始しました。 採集方法は、空気中はエアロセント技術、床・壁・浴槽の表面はふき取り法を使用し、排水口は排水を採取しました。 分析は、官能ガスクロマトグラフ法(物質とニオイを並行して解析)とGC/MSにより、ニオイの質と化学構造を解析しました。 その結果、「浴室のこもったニオイ」の主成分は、アルデヒド臭をもつヘキサナールやノナナールなど、酸臭は酢酸やヘキサン酸などでした。 これらは人の皮脂が酸化分解して発生する物質や汗に含まれる物質でした。 床・壁・浴槽の表面のニオイも、「浴室のこもったニオイ」と同じアルデヒド臭や酸臭が主成分でした。 また、これまで浴室のニオイの主原因として考えられていた排水口(排水)は、タンパク質などの腐敗に由来する硫黄臭(硫化水素、ジメチルスルフィドなど)とカビ臭(1-オクテン-3-オール、2-メチルイソボルネオールなど)が強いことが分かりました。これより排水口は「浴室のこもったニオイ」の主原因ではなく、主婦の意識とも異なることが分かりました。 また以上より、「浴室のこもったニオイ」の発生原因は、床や壁に残った皮脂汚れや汗汚れがこまめに掃除されていないためでした。 対策としてはよりきれいにするため「床や壁の掃除頻度を上げる」「洗浄効果の高い洗剤を使用」、および「アルデヒド臭や酸臭に効果のある消臭剤の利用」などが考えられました。 リリース本文中の「関連資料」は、こちらのURLからご覧ください。 浴室のニオイの主成分 http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0135467_01.gif 参考画像 http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0135467_02.jpg お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.07.20 08:38:49
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