|
カテゴリ:新聞記事より
2006/08/01, 東京新聞夕刊
新築住宅の建材に使われた化学物質が原因とみられる頭痛や吐き気、呼吸器疾患など、シックハウス症候群に悩む人たちが、快適に生活できる街をつくろうという計画が千葉県柏市で進行している。 その名も「ケミレスタウンプロジェクト」。 千葉大学と民間企業が連携し、未来のための快適な住環境を社会に提案しようという全国でも珍しい試みだ。 (柏通信部・冨江直樹) 計画では、柏市郊外の柏の葉地区にある千葉大学環境健康フィールド科学センターの一画に、六棟の一戸建て住宅を本年度中に建設する。 化学物質を極力使わず、自然素材を活用した建材が用いられる。 化学物質の放散量は厚生労働省の室内濃度基準の1/10にまで抑える。 化学物質を完全になくすのは不可能として、プロジェクト名は「化学(ケミカル)物質が少ない」という意味で「ケミレス」と命名した。 建設に参加する企業は、NRAハウジング(東京都足立区)、飛島建設(東京都千代田区)、アトピッコハウス(横浜市)など八社。 自然素材の火山灰シラスを活用した建材や、壁にはしっくいを使うなど各社の技術を生かす。 住宅エリアは「プライベートゾーン」と位置づけ、2008年度から3年間、シックハウスに悩む子どもやその家族を受け入れ、1週間程度入居してもらう。 入居者には健康診断や自覚症状調査を受けてもらい、症状が改善されるかどうかも試すという。 プロジェクトの指揮を執る森千里・千葉大大学院教授(環境生命医学)は「化学物質に反応性がある人にも住める環境を提言したい。 特に、次世代の子どもたちのための社会をつくることが大きな目的」と強調する。 学校やオフィス、病院のモデルとなる「パブリックゾーン」も近くに設置。 同科学センターに新設される環境医学診療科が入るほか、関連図書や減化学物質建材を展示する「ケミレスライブラリー」「ケミレスギャラリー」も置く。 森教授は「診療してとことん治すための施設ではない。 大学の一地域を使って情報を発信し続け、一つのモデルタウンにしたい」としている。 柏の葉地区は昨年8月に開通したつくばエクスプレス(TX)「柏の葉キャンパス駅」ができたばかりの新しい街。 将来的には柏市や隣接する千葉県流山市とも連携し、化学物質の低減を図った街づくりを目指すという。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.08.10 08:50:38
コメント(0) | コメントを書く
[新聞記事より] カテゴリの最新記事
|