すべてがこの手の中に(2)
間宮英博は晶が生まれたときにはもう小山内家で暮らしていた。間宮は晶の父の友人の息子だが、事故で両親とも亡くなったために引き取られたと晶は聞いている。 晶の父は地元では有名な会社の社長で、小山内家は裕福だ。だから子供一人増えたところで特に困ることはないし、晶の両親は友人の息子が一人になったときに見捨てるような薄情な性格ではなかった。 晶が生まれて16歳になった今日まで、いつも間宮は側にいた。特に世話をするように言いつけられたわけではない。晶が間宮を離さなかったからだ。 赤ん坊の頃は間宮を見ればいくら泣いていても機嫌を直したし、幼稚園に入っても小学生になっても中学生になっても、間宮の側にいることを一番好んだ。ただ間宮は晶よりも14歳も年上だったので、晶の父の会社で働くようになってからは帰りが遅くなることも増えてしまい、年を追うごとになかなか会えなくなっていったが。 高校生になった今はほとんどすれ違いの日々だ。 晶にはそれが面白くないし、側に全然いないくせに自分の行動を制限しようとすることにも腹が立つ。最近は間宮が何を考えているのか分からない。根本的なところで自分が好かれているのかどうかも分からなくなっていた。(お世話になった家の子だから仕方なく側にいてくれてたってことかな...) そう考えるとずんと気分が落ち込んで泣きたくなる。じんわり目元が濡れてくると、そんな女々しい自分が嫌でぐっとこらえるのが常だった。 最近は仕事を理由に自分に合わないようにしているのではないかと思うくらいに、思考が後ろ向きだ。だから間宮を振り向かせたい、また前のように優しくして欲しいと望むからか、最近の晶は間宮の嫌がるであろうことをするようになっていた。といってもまだ大きく道をはずれることは出来ず、テストの点を悪くしてみたり帰りを遅くしてみたりというたわいのないことばかりではあった。でも今まで大切に真綿に包まれるようにして間宮の庇護の中で育った晶には、この上ない冒険ではある。(結局顔色ひとつ変えないで、説教だけか...) もう晶には自分が何を望んでいるのか分からなくなってもいた。間宮に優しい言葉をかけてほしいだけなのか、側にいて欲しいのか、振り返ってもらってどうして欲しいのか...間宮が自分より14歳も年上で大人で仕事が忙しいのも分かっている。自分も大きくなっていく。いつまでも子供のままではいられないのだ。(でも...間宮はずっと側にいて当たり前だと思っていた...) 晶はベッドに横になって目を閉じた。お風呂に入って着替えて寝なくてはいけないと思っても、体か動かない。ふと先日聞いた間宮のお見合い話が頭の中をよぎり、体が強張るのを感じた。(だよなあ、間宮も30だもん。もうそういう年なんだよねえ) 父は晶には教えるつもりはなかっただろう。たまたま気が向いて入った父の書斎の机の上に置いてあった封筒を手に取ったのは昨日のことだ。中には着物を来た20代半ばの綺麗な女性の写真が入っていた。一見してお見合い写真とわかるものだ。 まだ晶は16だからいくらなんでも早すぎる。適齢期といえば間宮以外には家の中には居ないのだから、多分そうだろう。 一応確認しようと習い事から帰ってきた母を捕まえて聞いてみることにした。母は言葉を濁して最後には「よく知らないわ」と言っていたが、明らかに不審な態度は晶の考えを証明するかのようだった。(間宮が結婚するってピンと来ないけど...何か胸の奥あたりが痛いんだよね...) 間宮が今まで女性と付き合ったことがないとは思わない。今すぐにでも2枚目俳優になれそうなくらい男らしく整った顔立ちをしているし、少々真面目すぎて融通はきかないかもしれないが、基本的に優しくて心配りもよくできる。女性が放っておかないだろう。 今まで晶は間宮の女性関係については一切聞いたことがない。間宮はその話もしなかったし晶の前で一度も恋人がいるそぶりを見せたこともなかった。どんなタイプの女性が好みかさえ晶は知らない。 結婚したら間宮は小山内家を出て行くのだろうか。今まで出てかなかったのは多分晶のせいだ。晶が側にいて欲しいと甘えたから、きっと間宮もこの家に留まったのだ。そして晶の両親も許したのだろう。(どうして子供のままでいられないのだろう...) 晶はうつぶせになり、ベッドに顔を強く押し付けた。自然に出ようとする涙を止めるために。 つづく☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ ☆ミ【ここから日記(?)です】今日も暑いですね~^^;午前中30分ほどですが、子供会行事の練習を見てきました。小学生組は朝早くから行ってましたが、「一度くらい練習を見てこよう」と思いながら見れてなかったので、末娘のガマン許容は30分かなと思って最後のすこしだけでしたが。久々に日中外に出て、若さも体力も抜け出ていってしまうような暑さに、「この中を毎日歩いたら、痩せるかしら…」と真剣に実行しようか悩みました。子供たちはこの暑さの中を毎日学校へ行き帰ってきても外で遊んでいる。だからなのかとっても痩せている。横から見てもぺらぺらだ。食生活が太るものというわけでもなさそうだ。やっぱりもっと活動しなきゃ!!!と結論。まずは夏コミまでに!ということで2話目です(^^♪あまり深く考えずに書いていますが、この調子だとどんなくらいの長さになるのか…(といってすぐ終わったりして)今日明日は仕事も休みだ!(その上、明日はダンナは仕事で、子供たちもじじばば宅へ行っていないので一人だし~(^_^)v)一杯飲みながら書き書きモードです♪あ、そいえば、とってもけなげな受に涙なくして読めないというのを聞いて、そういうのが大好物の私。ガマンできなくて買ってきちゃった^^;恋獄の獣に愛されて多分今から読んじゃうな~(+_+)