福知山線の事故について(クレーム処理)
今回の事故原因のひとつと推定される事項として「遅れを取り戻そうとした」ことがあげられる。電鉄関係者から聞いた話では、列車は例え1分でも遅れればクレームの電話が電鉄会社に来るそうだ。電車が1分遅れて、接続が悪く次の電車に乗れなかったというクレーマーがいるが、ラッシュアワーでドアの開閉が遅れたり駆け込み乗車のために電車が遅れることがあることは十分想定されるので早めに家を出れば良いのにと思う。こういうクレームに対して、本社の人間が現場を良く知っていて腹が据わっていればよいが、そうでないと遅れることを事故扱いにしてしまったりするのではないか。今回の事故の要因と想定されている遅れはオーバーランによるものなので運転士もプレッシャーが大きかったと思うが、単純な遅れでもクレーム電話は来る。 コールセンターに関係する人間から聞いた話だが、わが国には「クレーマー」という大きな集団があり、いちゃもんつけ・ごね得(ごねどく)・暇つぶし・セクハラのために電話攻勢を日々かけている。日本独特の「お客様は神様」という変な過剰サービス意識と、戦後異常に肥大した権利意識のなせるわざと思うが、こういう連中の言うことをまともに取り上げてはならないのだ。ことなかれ主義者・保身主義者・減点主義者の会社幹部が特に危ない。現場を良く知らない人事上がり、経理上がりの役員が特に自戒しなくてはならない。 原則として5分以内の遅れは免責として、顧客満足(Customer Satisfaction)より、顧客安全(Customer Safety)の観点から公共輸送事業にあたってもらいたいものだ。 P.S. 私は、先日新幹線「のぞみ」に東京から乗ったが、体調の悪い子供がいたらしく掛川駅で臨時停車した。これで10分ぐらい遅れたが、遅れを取り戻すようにスピードを上げてくれて広島に着いたときには3分程度の遅れで済んだ。これは大変ありがたいと思ったのだが、今回の事件で、遅れのリカバリーは大変な技術がいると実感した。