インドへの直接投資事例
反日意識の高い中国はカントリーリスクが高いのでかねてから親日的なタイ・インドへの投資が有効と考えているが、日本企業のインドへの投資例のプレス・リリースがあったので要約して紹介する(詳細は三井金属のホームページを参照されたい(http://www.mitsui-kinzoku.co.jp/):三井金属鉱業株式会社の4月27日プレスリリースによれば同社は インドに自動車触媒の生産・販売拠点を設立し、2006年10 月より自動二輪向けを中心に現地生産を開始するそうだ。今年から排ガスの規制強化が進むインドにおいて、自動車(二輪・四輪)排ガス用触媒の生産及び販売の拠点となる新会社をこのたび設立する。新会社は、本年6 月に設立し、2006 年10 月には、本格的な生産を開始する予定。設備投資額は、2007 年度までに約500 百万円の規模を見込んでいる。三井金属鉱業は従来、部品事業の一つとして、自動二輪車と軽四輪車向けを中心に排ガス浄化用触媒を生産・販売している。このたび設立する新会社は、インド国内において、同様の車種に向け排ガス用触媒の生産・販売を行い、年間400 万個の生産能力を有する設備を備える計画とのこと。現在、現地当局へ会社設立申請等の手続きを進めており、インドのデリー市南西90kmに位置するハリアナ州バウル工業団地を予定地としている。同工業団地は、数社の日系企業が進出しており、国道沿いの交通が便利な地域であることから事業に適すると判断し選定したもの。資本金は、200 百万ルピー(約520 百万円)とし、三井金属鉱業が100%出資予定。創業時の人員は、日本人3 名、現地採用36 名で対応する予定。生産立上げ当初の新会社では、タイの拠点であるMSC社から中間品を仕入れ、後工程の加工・仕上げを行い納品することで、立上げ時のリードタイムの短縮と品質確保を図る。計画では、2008 年度以降には前工程も行い、全工程生産を可能にする予定。なお、三井金属鉱業の触媒事業における海外拠点は、タイMSC 社に次いで2 つ目。2003 年、自動二輪車の世界における販売台数3,100 万台の内18%にあたる563 万台がインド国内で販売されており、同国は、中国に次いで世界第二位の自動二輪車の需要国。しかし、同国内に普及する自動二輪車の内、8 割近くが排ガス浄化のための触媒を装着していないのが現状。2005 年に入り、インド国内では、排ガスの規制強化が進められており、今後販売される自動二輪車に対し触媒の装着が急激に伸びると予想されている。既に三井金属鉱業は、タイのMSC 社からの輸出により、同国内の自動二輪車用触媒において30%近くのトップクラスのシェアを有している。今後、新会社設立によるコストダウン等の優位性を一層発揮すると共に、販売台数と装着率の伸びに伴う同国内の自動二輪大手数社からの大量受注を既に獲得していることをも背景にして、同シェアを約50%にまで高めていきたいと考えている。また、新会社は今後、触媒事業に止まらず、同じく当社の部品事業である自動車用ドアロック事業の生産・販売の実施をも積極的に検討していくとのこと。二輪車と共に、これから四輪車が普及する余地も極めて大きいインドにおいて、本格的なモータリゼーションの到来にたいおうしたいとのことである。