カテゴリ:本(いろいろ)
本を読むようになって初めて「綺麗」と思う文体に出会ったのが
宮本輝氏の「泥の川」でした。 以来、彼の本を読みあさって、「錦繍」「夢見通りの人々」などが お気に入りなのですが、 今回読んだ「血脈の火」も大好きな本です。 宮本氏のお父さんがモデルになっているらしい松坂熊吾という人物を中心に 彼の家族と周囲を取り巻く人々の物語です。 随分時間をかけて書かれていて、 「流転の海」「地の星」と続いてこの「血脈の火」が第三部。 なかなか進まないんですよねぇ。 松坂熊吾は戦前戦後をたくましく生き抜く豪傑そのものの人。 仕事にも女性にもその豪快な人柄は現れていて、 周りをブンブン振り回していくのですが、 この第三部では、さすがの熊吾にも老いを感じさせる部分が現れて来ていて、そのかわりというのか、彼の目にも入れても痛くない一人息子伸仁や妻の房江の物語も増えてきています。 宮本氏の作品で私が好きなのは、大阪弁の表現。 この流転の海シリーズも大阪弁ですが、 なんだかノリがいいだけの大阪弁とはちょっと違う、人情味あふれた感じがするんですよねぇ。 品の良さが感じられるというか。 以前、宮本氏が何かの番組に出ていたのを見たのですが、 彼の話す大阪弁が、まさに小説の中で使われてる言葉そのもので。 本人曰く結構いらち(気が短い)な人らしいのですが、 話し方はすごくおっとりしていて、なんだか彼が話し始めると とりあえず皆聞こうか、みたいな雰囲気になるというか。 ここ何年かの作品は、う~ん、と思うものが続いていて、 しばらく読んでいなかったのですが、 また読み始めようかな、と思いました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.10.28 00:52:58
コメント(0) | コメントを書く |
|