カテゴリ:本(いろいろ)
初挑戦の奥田英朗氏作品。
「サウス・バウンド」とか話題になっていて 気になっている作家さんの一人だったのですが 2002年に「このミステリーがすごい!」で第2位だったという この作品から。 主人公は、及川恭子、34歳。 優しい旦那、一男一女の子どもたちと、建てたばかりの郊外の一戸建てに 幸せに暮らしている。 が、ある日旦那の勤務先で放火事件が起こり、捜査が進んでいくうちに その平和な生活に崩壊が始まる。 それまで当たり前にあると思っていた生活が壊れていく。 信じていた人たちとの関係が壊れていく。 その崩壊を食い止めようと恭子がとった行動とは… で、もう一人の主人公が、放火事件を追っかける久野刑事。 最愛の妻を事故で亡くし、その傷を引きずり、不眠症に悩まされながらも 仕事に追われる日々を送っている。 放火犯を追う中での、警察内部での確執、 腐り切った上司とのトラブルなど、ストレスを感じ続ける中、 唯一のなぐさめは亡くなった妻の母との関係だったのだが その実体とは… てなストーリー。 主軸になるのはこの二人の話だけど 上下二段組、454ページもある本だけあって 他にも脇を囲むストーリーが多々あり、 最初のうちは、話がどこへ進むのか全然予想がつかない状態で展開。 後半になってようやくメインの話が見えて来て ストーリー自体も展開が早くなった。 3日間かかって読み終わったけど いやぁ、ボリューム感たっぷりでした。 恭子が底なし沼にはまっていくように、身動きがとれなくなっていく 様子は、想像がつきつつも、かなり恐い…。 久野もまた同じ。 追い詰められた人が、 はたから見ると一種狂気の世界に入ってしまったように見えるのは こういうことなのではないかと。 久野刑事の場合もそうだけど、 事なかれ主義で、周りともうまくやりつつ仕事をこなすタイプではない人が 職場の中で追い込まれて行くというのを描くのに、 警察というのは舞台にされることが多いですねぇ~。 そんなすごいとこなのかしら、警察って。 それとも、そういう想像力をかきたてる存在なんかな? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|