メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は広く知られるようになってき
ましたね。しかし、どのように予防すればいいのかわからないという方も多い
のではないでしょうか。メタボリックシンドロームは、食生活や運動習慣の改
善などによって、予防・改善ができるといわれています。そこで今回は、スポー
ツの秋にちなんで、運動に焦点をあてた予防法をご紹介します。
★メタボリックシンドロームとは
メタボリックシンドロームは、肝臓や腸などお腹回りの内臓に脂肪がたまるこ
と(内臓脂肪型肥満)によって代謝が悪化して起こります。この内臓脂肪型肥
満に加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうちいずれか2つ以上をあわせもった
状態であれば、メタボリックシンドロームと診断されます。この状態を放置し
ておくと、動脈硬化を引き起こし、心臓病や脳卒中など命にかかわる病気を発
症する危険性が高まります。その内臓脂肪を減らす鍵になるのが運動習慣です。
適度な運動習慣を維持することによって、1日の消費エネルギーが増え、基礎代
謝量(生命維持のために消費される必要最小限のエネルギー量)も高まり、内
臓脂肪が減少しやすくなります。メタボリックシンドロームの予防・改善のた
めに、日常生活の中で積極的に体を動かす、軽めの運動を続ける、筋肉を鍛え
る、この3つの身体活動を習慣にするようにしましょう。
★日常生活の中で積極的に体を動かす
日常生活の中でも、体を動かすチャンスはたくさんあります。例えば、エスカ
レーターやエレベーターを使わずに、階段を上り下りすることで、筋肉を鍛え
ることができます。最初は無理をせず、エスカレーターなどを毎回使っている
人は、階段を使う日を週に1~2日設けてから徐々にその日を増やし、3か月を
目安に毎日階段を使うようにしていきましょう。
また、電車で立っているときにつま先立ちをするのもちょっとした運動になり
ます。特に足の親指に力を入れるとふくらはぎの内側の筋肉が刺激されます。
ただし、危険ですので、混み合った車内は避け、つり革や手すりなどにつかまっ
て行うようにしましょう。
★軽めの運動を続ける
内臓脂肪を減らすには、短距離のように短時間で強い負荷がかかり、息が切れ
るような激しい運動よりも、筋肉への負荷が比較的軽い運動(有酸素運動)の
ほうがいいそうです。有酸素運動は脂肪をエネルギー源とするため、血中のLDL
コレステロールや中性脂肪、体脂肪の減少が期待できるといわれています。有
酸素運動にはウオーキング、軽いジョギング、自転車などがあります。
★筋肉を鍛える
年を重ねると筋力が衰え、基礎代謝も落ちてきます。基礎代謝を高めるために
は、ある程度筋肉を鍛える運動も必要です。そこで、自宅でも手軽にできる筋
肉トレーニングをご紹介します。
●スクワット
スクワットは太ももの前面と、背骨と両足をつなぐ大腰筋を鍛える効果があり
ます。まず、両足を肩幅に広げ、つま先を外側に開いて立ち、背筋をまっすぐ
にして両腕を前に伸ばします。つま先とひざが同じ方向に向いていることを確
認しながら、3秒間で椅子に座るようにひざを曲げ、この状態を1秒間キープし
ましょう。そして、3秒間で元の姿勢に戻します。スクワットを行うときは下を
向かず、ひざがつま先より前に出ないように注意しましょう。転倒の危険防止
のため、椅子などつかまるものがある場所で行ってください。
●ヒップエクステンション
ヒップエクステンションは太ももの背面とお尻を鍛えるトレーニングです。ま
ず、背もたれのついた椅子を用意しましょう。椅子の背もたれ側に背筋を伸ば
してまっすぐ立ち、背もたれに手を添えます。腰の位置を固定したまま、お尻
の下のほうに力を入れ、腰を反らさないように注意しながら、3秒間でかかとか
ら足を後ろへ上げます。足を後ろに上げた状態を1秒間保ち、3秒かけて足を元
の位置に戻します。このとき上半身が前かがみになったり、椅子に体重をかけ
たりしないようにしましょう。
●腕立て伏せ
腕立て伏せは胸や腕を鍛える筋肉トレーニングです。ひざを少し曲げた状態で
床につけ、両腕を床につけて床に対し垂直に伸ばします。このとき、腕はぴん
と伸ばさずにひじを少し緩めた状態にします。両手を肩幅よりやや広めにおき、
指先をやや内側に入れます。ゆっくりひじを曲げ1秒間この姿勢を保ったあと、
腰を反らさずに曲げたときと同じ速度で元の姿勢に戻します。
それぞれ10回を1セットとして、体力や筋力に応じて1~3セットを週5~7回行い
ます。筋力に自信のない方は自分のペースで、最大2セットまでとしましょう。
メタボリックシンドロームの予防・改善には運動習慣を維持するだけでなく、
バランスのよい食生活なども大切です。これらをあわせて生活習慣を見直し、
健康な生活を送りたいですね。
TEPOREアンケート「大人の食学~メタボリックシンドロームと基礎代謝~」の
結果はこちらから↓
http://www.tepore.com/hyper/en/c.p-advg.com/adpCnt/r?mid=885063&lid=1
参考資料:厚生労働省「健康づくりのための運動指針2006」
監修:産業医/砂田健一
※病気やケガをされている方は、今回ご紹介した運動を実践する場合、医師や
運動療法士などに相談したうえで行ってください。