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2006/09/25
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カテゴリ:日々是好日
深耕は篤農の代名詞、一寸でも深く鍬を入れる努力の積み重ねが土を作る。
現代は機械で耕す。馬力の大きな機械を使えば、たやすく深耕できる。しかし重たい機械
による踏圧の加重と深耕はいたちごっこ。このいたちごっこは抜けられるのか?

雑誌「現代農業」06年10月号は「耕し方で畑が硬くなる」という特集記事を掲載。
その一部「重たい機械の下の硬い土プラウなしでも根は張るか?」で北海道の事例を紹介
して、プラウ耕をやめた畑とした畑の小麦とアズキの根の張り方の写真を比較している。

写真を見れば一目瞭然、やせ薬の使用前・使用後の比較写真のようなもので、プラウ耕を
やめた畑の根の張り方の方がプラウ耕をした畑よりも断然優れている。
本当だろうか?

記事にはこう書いてある。「北海道大学の相馬尅之先生によるとプラウ耕をすると土壌の
間隙が極端にすくなくなる
という。一度ロータリで軟らかくした土は、機械の踏圧で締ま
り、その土をプラウで練り返すように下層に入れると、下層の間隙は激減、間隙がなけれ
ば水は通らず、当然根も伸びることができない。だからプラウ耕はしないほうがいいとい
う」67.p
同じ趣旨の記事は、06年の1月号、8月号でも取り上げている。

「プラウ耕をやると土壌の間隙が極端に少なくなる」という指摘は、意表をつく鋭い観察
だ。一般にプラウ耕の跡は、硬く締まった土が掘り返され、下層にまで空気が入り、土は
全体に盛り上がり、土壌の間隙は明らかに増えたように見える。確かに大きな間隙は増え
るかも知れないが、これは一時的なことで、この後ロータリやハローをかけて砕土をした
場合、土壌の微細の小間隙の総量は増えるのか減るのか?
土壌水や植物の根にとって意味のある間隙は、プラウ耕で天地返しされたときに出来る大
間隙ではなく、微細な小間隙である。
上記の指摘は、機械の踏圧で固められ小間隙のなくなった表土を、繰り返しプラウ耕で下
層の土と入れ替えていくのだから畑全体の間隙は極端に少なくなるという趣旨だろう。

僕自身、かねてからプラウ耕が有効かどうかは時と場合によると考えている。秋起こしの
プラウ耕は翌春まで放置し、霜に当てて土塊を崩すので有効だが、9月にジャガイモの跡
地にプラウをかけると、機械の踏圧と乾燥が重なったような場合、がちがちの土塊が表に
出てしまって、箸にも棒にもかからない。また小麦の刈り跡にソバを播いているが、プラ
ウ耕で鋤込んだ後にソバを播種すると、ソバの生育が極端に悪い。小麦の残カンの分解に
伴う窒素飢餓現象なのか、分解時のガスによる根腐れなのか、両者の複合的な結果なのか
判然としないが現在はプラウ耕をやめて、パワーディスクで浅く処理した後にハローで整
地してソバを播いている。今年はジャガイモの跡地も、一部の畑はプラウ耕をやめて直接
ハローで整地してから小麦やナタネを播いてみた。
一方、雑草対策という点ではプラウ耕をやるとやらないでは、最初から比較にならない。

では、雑草対策も含めて総合的に土作りという観点からプラウ耕はやめたほうが良いのか
どうなのか?
雑誌「現代農業」の記事は、まるでプラウ耕をやめたほうが作物の根張りが良くなるかの
一面的な書きぶりだ。「良い」となると、そればっかりを奨める「ばっかり記事」が時に
目につくけれど、確かに分かり易くてよいけれど、時と場合を忘れれば手痛いしっぺ返し
を受ける。

「有機農法」(ロデイル、人間選書55、農文協、1987刊)の初版は1945年に出版され
た。この本の意義について訳者(一楽照雄)は「訳者あとがき」でこう書いている。
「すでに四半世紀以上を経た古い著書であり、アメリカ人がアメリカの農民によびかけた
ものであるから、ふつうなら今日の日本ではほとんど役立たないはずであるが、この本は
けっしてそうではない」「一昨年(1971年)秋、われわれが、わが国現代の農法を反省し、
あるべき農法を探求するため相互研鑽の組織として有機農業研究会を発足させるとともに、
その活動計画のなかに、本書を邦訳して出版することの促進をふくめたのであった」

この本の第五部「よい農法とわるい農法」の第二章で「プラウで耕起することの可否」と
いう問題を扱っている。これを見ると、プラウ耕の可否という問題は古くて新しい問題の
ようだ。
次のような書き出しで始まっている。「オクラホマ大学新聞が最近出版したE・H・フォ
ルクナーの『耕人の愚』という書物は、農民がモルドボード・プラウを使用することを激
しく攻撃している。この書は出版会にセンセーショナルな反響を引きこし、新聞や雑誌の
論調の多くは好意的であった。”悪辣なプラウを打倒せよ-現代農業の呪いを”というの
である」
これに対して、ロデイルはこう書いている。「『耕人の愚』はプラウのかわりにディスク
やハローを推奨しているが、私はその理論と実際は無分別なものであると考える。有機農
法に関心を持つ多くの人々は、彼の理論を受け入れるのに熱心であるかに見えるのである
が、これは多分、プラウが増産本位の人工的な現代の商業的農業と結合しているとの潜在
意識によってであろう。しかし、つぎのことはしっかりと心にとめておくべきであろう。
すなわち、この有益な器械は、ある特定の場合には災難を引き起こすかもしれないが、そ
の他のばあい、とくに肥料として堆肥が使われているところでは、安全かつ能率的な器具
である」
乾燥地農業のような特定の地域では、プラウ耕が危険な場合がある。しかし普通の、平均
的な地域ではそんなことはない。フォルクナーの説を確かめるために実施に試してみた。
すなわち「六エーカーの土地に冬小麦を植えたが、その二分の一はプラウで起こし、他の
半分はディスクとハローだけを使った。プラウを使用しない区域は土壌中に雑草をすき込
むために、よけいなディスクの使用によって、余分な労力を必要としたのである。
結果は、プラウを使用しないところでは全くダメで、雑草が多く茂ってしまった。プラウ
で耕したところは、新しい雑草の種が下にやられ、上まで伸びてきたときには、小麦がす
でに伸びているのであった。プラウを使わないところでは、雑草が作物よりも早く出てき
て、その結果は他の三エーカーの区と比べて、非常に貧弱な株立ちであった」
「われわれはこのプラウ無用論を1943年に野菜園で試みたが、雑草に関する限りでは、
結果は惨憺たるものだった。雑草は極端に多く発生して、作物を見分けることがほとんど
できないほどであった。この雑草を除草するのに投じた労力によって、作物は経済的に引
き合わなかった」
土壌の間隙に関しては、次のようなことを書いている。
「土壌の理想的な状態は、ゆるくて通気がよく膨軟な状態である。わたしはプラウを使っ
ているところをあとからつけていって、土壌が引き上げられ、それから落ちるのを何度も
見たことがある。もしもこのことが土壌をゆるくし、空気の流通をよくするのでなかった
ら、何がそれをするのか考えられないわけである。プラウをいれることをしないで、二三
回分余分にディスクを入れるならば、トラクターを入れるのよりも重い圧力を土地に加え
ることになるだろう」

毛管現象に関して、次のように書いている。
「フォルクナー氏のおもな論点のひとつは、地表の青物類がすき込まれると、土壌水分の
毛管現象が破壊されるということである。すなわち、このような有機物は多くの水分を下
部からも上部からも吸収するので、防壁のような作用をして、水が毛管現象で下部から表
面に達するのを妨げるというのである」
「たとえ毛管現象がフォルクナー氏の主張するような要因であるとしても、有機農法で取
り扱われる農場の土壌には、いちじるしい利点がある。このような土壌の生物学的生命が
活動をはじめる。有益な土の微生物はプラウが使われた直後に、正常な状態に復興するた
め、働きはじめるだろう。有機質が多いところには、細菌、菌類および藻類が非常に多く
存在していて、すき込まれた青物類を分解するだろう。ここではミミズがまた重要な役割
をはたす。彼らはふんを地表に排泄するために、青物類を突き抜けて、地表に達する穴を
一エーカーにつき何千もあける。これらの穴は下部から水を引き上げ、雨水を上から地中
に滲み込ませる。土壌に際立った生物学的生命があれば、精巧な弾力性や軟らかさと、不
都合な環境下にも物事を進行させる能力があることが分るであろう」

最後に心土耕起に関して、サブソイラーとプラウの効果について、次のような引用をして
いる。「農耕の中から得た知識で、私は次の二つのことが分った。すなわちプラウがなく
ては農耕はできないということと、プラウの価値はそれを使う前にあらかじめサブソイラ
ーで耕起することによってのみ得られるということである」






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最終更新日  2006/09/25 05:26:46 AM


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