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カテゴリ:豆知識
着物の反物には小さな札がついています。 今はバーコードになってしまっていますが、 ちょっと前まではいくつもの小札がつけられていました。 反物が流通して行く過程で、 情報が符牒となりその小札に書き込まれていたわけです。 情報にはいろいろありますが、多いのは仕入れ値。 自社の社員にしかわからない符牒(暗号)で値段が書いてあるのです。 ある呉服問屋の符牒はこうでした。 登和仁佐加江遊久美世 とわにさかえゆくみせ 「永久に栄えゆく店」という文章ですが、 実はこれが数字に置き換わります。 登和仁佐加江遊久美世 1234567890 になります。つまり、 「登佐遊世世世」と書いてあれば 137000円になるわけです。 ベテランになると、この言葉と数字の関係は しっかり頭の中に入っていますから、 登は1、佐は4、遊は7、などとスラスラ出てきますが、 新入社員は、指を折りながら「とわにさかえゆくみせ」と唱えて 小札に書いてある秘密の値段を読むのです。 随分前になりますが、 僕はある小物雑貨問屋の符牒を偶然に解読してしまいました。 漢字は忘れてしまいしたが、読みがなんとも皮肉で 「はたらいてこそしゅっせ」でした。 これにはニガ笑い。 つまりその会社に入った新人は、 毎日「働いてこそ出世、働いてこそ出世、働いてこそ出世」と いやでも呪文を唱えるようになっていて、 強制的にご奉公を頭に刻み込まれていたわけです。 うまいというかセコい符牒でした。(笑) 「永久に栄えゆく店」も「働いてこそ出世」も 現在はその会社はなくなってしまっています。 皮肉な話ですね。 ちなみにうちも古い商家ですが、 うちの符牒は「正直者の徳ありて」だったそうです。 風呂敷専門店「ふろしきや」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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