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救急車は夕闇の中を走り出した
本当にお別れだね 救急車の小さな窓から見える景色を食い入るように眺める ○○ちゃんと歩いた坂道、角の本屋、小学校、消防署 楽しかった日々が次々と浮かんでは消え・・ 私の街がどんどん遠ざかっていく さようなら。 病院に着くと大好きな主治医の先生をはじめ 神経内科の先生たちが総出で迎えて下さった 鼻マスクが口も覆うタイプに変えられ 酸素が流される ルート確保、採血と手際よく進み 「二酸化炭素58%です」という声が・・ ダメじゃん(-_-#) そして病室へ 主治医のS先生が穏やかに口を開いた 「呼吸器つけますか?」 「えっ?今? 今 答えなければいけませんか?」 「意識があるうちに意思を確認しないと あなたの思いに反することになるかもしれません」と・・ そっかー 今かー すごく変な気がした 薄れ行く意識の中でもう「このまま逝かせて・・」 という場面がいつか来るとは思っていた だが、こんなにはっきりした意識の中で 「生きますか?死にますか?」と問われるとは・・ パパと○○ちゃんでちゃんと生活できるかも心配なのに 介護なんて・・ 「つけない!」と答えた S先生は黙って部屋を出て行った・・ 夜 遅くになってもパパは 「ママがいなくなっちゃうからいやだ!」 といって帰ろうとしない 「ママはまだ死にはしない! ○○ちゃんが家で一人だから」 と無理やり家に帰した 家に帰って暗い部屋で呆然としている息子のことを思うと胸が締め付けられる あの二人は、これからどうするんだろう? 大丈夫!二・三ヶ月もあれば立ち直るさっ! と思っても心配で心配で・・ ごめんね。ママにはどうすることもできない 翌日 水曜日 兄がやってきた 長い間S先生と話しこんでいたようだ そして兄は 「生きろ!パパと○○のために生きろ!」と言う 「S先生が受け入れてくれる病院を紹介してくださったから・・ 離れていても生きているほうが絶対○○のためになる つらいことも多いだろうが楽しいこともきっとある 生きろよ!」と・・ ・・・・・・・・・・・・・・ 危険だよ。 心が動くよ。 だめだよ。だめっ・・・・・・ 心が傾いてしまう つらい療養生活に耐えられるのか? 本当にママが出来る事があるのか? もう少しだけ二人の顔を見ていたいよー 「がんばれるかなー・・」 しぼり出すように・・・ 涙が溢れ出した 兄は「うん うん」と頷いた 危険な決断をしてしまった ママは離れた場所で見守ってあげることしか出来ないよ ○○ちゃんごめんね。寂しい思いをさせて パパ、また負担かけちゃうね 後悔するかもしれない でも、前に進むと決めた 少しでも長く笑顔でいられますように。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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