カテゴリ:まんが
こんなに正統派の女の子は、いまどきちょっといない。 物語のヒロイン黒沼爽子(貞子)は、ひざ下までの長いスカート、上まできちんとボタンをとめたブラウス、白い靴下。黒くてまっすぐな肩下までの髪。 勉強は自主的にきちんとやるし、家の手伝いもするし、料理も作れる。 学校の雑用係も、委員の仕事も、自分から買って出る。 そして、ヒトのためになにか役立てないかと、いつも考えている。 それにもかかわらず、貞子とあだ名され、彼女とかかわれば呪われるとか、霊感があるとか、噂され、嫌われている。 物語を読み始めた時、なぜこんなに嫌われているのか不思議だった。 でも、今の時代。女子高生の間では、制服のスカートは、ウエストをまくりあげることで、ミニにするのが流行っている。それはもう見事なくらい、ほとんどすべての女の子たちのスカートは、短い。場合によっては、下着の見えそうなぎりぎりの丈だったりする。 こうなるともう、本音ではミニスカートがいやでも、足をだしたくなくても、自分の好みに関係なくスカートを短くせざるを得ない。 こんな時代にスカートの丈をひざ下のままにしていたら、まず、周りから浮くに違いないし、ものすごく勇気のいる行為に違いない。 実際、物語の中でも、爽子以外のすべての女の子たちは、いまどきのミニスカートなのだから。 その上勉強はやる。委員はやる。髪は黒い。これでは、実際周りから『うざい奴』と、思われても仕方ないし、いい子ぶりっこと、思われて、嫌われるること必定だと言える。 物語では、貞子の悪評ばかりが、オーバーに語られているので、爽子のこういう本質が見えにくい。 けれどそんな中で、風早君だけは、真実を見抜く目を持っていたのだ。 他人のために、クラスのために、自主的に働く爽子に気づいて、魅かれていく。 ただ、周りは、彼のそんな心中がわからずに、ただ、優しいから、浮いてる子を放っておけなくて、優しくしているだけだというように見えてしまう。 ほとんどの女の子がヒトによく見られようと、必死になっていて、そのためにミニスカートだったり、過剰におしゃれしていたりする中で、爽子だけが、人によい感じを与えるための制服の着こなしや、委員の仕事や、料理、友達のためのノート作りをしていたりする。 けれど、高校生になった彼らは、少しだけ成長していて、やがて、風早君や、初めて爽子の友達になってくれたヤノピンや、吉田さんたちによって、爽子の本質がみえはじめ、彼女を受け入れ始めていく。 爽子自身は、自分の制服が友達の中で、浮く着方だということも、自分がやってるもろもろの行為が逆に回りの同級生たちに、ある意味での不快感を与えていることにも、実は気づいていない。 ただ、ヒトのために動いているだけなんだけれど。 物語の進むうちにどんどん爽子が可愛くなっていく。そして、やがて、風早君のために、ミニスカートをはいたり、おしゃれをしたりするようになっていく。 それから、この物語の大切なメッセージの一つが、思っていることは、ちゃんと言葉にして相手に伝えなくては駄目だよ、ということ。 思いはきちんと言葉にして、相手に届けなければ。 言わなくてもわかるとか、言うのは怖いから逃げちゃったりとか、そんなのは駄目だよってこと。 一生けん命話した私の言葉は、あなたに、君にちゃんと届きましたか。 届いてほしい。 届けっ! 十代のいろんな思い。恋心も、友情も、なかなか思い通りにいかないそんなエピソードのひとつひとつが、読みながら、ドキドキして、青春だなーっと何度も何度も、思いながら、爽子と、風早君の恋の行方を追いかけながら、作者のメッセージをたくさんたくさん、いただきました。 ヒトと、本気でかかわるって難しい。 いままで、ずいぶん逃げていたなと、反省もしましたが。 現在12巻までです。続きがとーっても、楽しみです。。
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最終更新日
2011年03月22日 15時00分31秒
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