テーマ:社会のあり方を考える(116)
カテゴリ:大学生の話
リーマンショックとは、便利な言葉だ。と、最近気づいた。
景気が悪いのも、会社の経営がうまくいかないのも、政治がうまくいかないのも、就職がきびしいのも、世の中の不景気もみーんなリーマンショツクのせいと、いいわけできるらしい。 あれ以降すかっり景気がわるくなったらしい。 でも、息子の就職活動をきっかけに、いままでサボっていた就職活動関係の本を何冊か読んでみて、シューカツがらみの雑誌の記事もよみ、ネットのシューカツ記事もいろいろ読んでみて、なるほどなぁっと、思った。 いまどきの学生は、個性がなくてとか、いわれるけど、いまどきの企業の新卒採用活動もおなじ。 まるで金太郎飴みたいだ。 就職専門のサイトに登録してそこから、学生に一斉にメールを送る。 サイトを通して、ネットを通して、学生からのエントリー。 ネットのおかげで膨大な量がくるから、すごい量のシューカツ生を処理するのもたいへんらしい。 そのあげく、人手が足りなくて、面接なんてやったこともない素人の社内の割とひまな社員まで総動員して、学生を一次面接するらしい。 面接の基準は、一緒に働く気のする人材かどうか。 ようするに、素人の社員のなかよしごっこのお友達さがし。 現役社員と似たタイプの人間ばかりが選ばれるらしい。 これじゃいくら、会社のトップあたりが、個性的で奇抜でアタラシイタイプの社員がほしいと思ったって無理だよ。 そういう人材は一見かわってるから、一次面接でしろうとの面接官にほぼ落とされる。 大量のエントー。次から次の説明会。 片っ端から受けまくって面接としゅーかつにうんざりの学生。 こんなので、本当にいい人材なんてとれるわけもなく。 最近の大手企業の中身がぼろぼろで、危なくなってるのも無理もないんじゃないのかなと、ふと思った。 世界に冠たる大企業だったソニーも、松下も、東芝も、日産も、トヨタも、なんだか中身はボロボそう。 10年後にもあるのかな。 数打ちゃ当たるの大量エントリー。 受験対策のようなシューカツ対策。 優等生を演じたつもりのお面をかぶったシューカツ生相手の面接。 コミュニケーション能力がとわれているっていうけれど、面接がうまいのと、コミュニケーション能力があるかどうかは別。なんじゃないかと、最近ふと思う。 人づきあいがうまくて、友達が多くて、コミュニケーション能力が高くたって、知らない場所で、第一志望の企業でドキドキしながら、不意打ちの質問されたり、予定外のことをきかれたら、しどろもどろになって、うまく答えられないのも当たり前だと思う。それって普通のことでしょ。 初対面でもベラベラしゃべれるといううタイプの人間にだけ有利なだけ。 ちなみに、二、三年前から、求人は、定員制から厳選採用に変わったらしいのです。 ようするにある一定以上のレベルの学生がとれなければ、人数がたりなくても、無理して採用しないらしい。 内定をだした学生が辞退してきても、その分を埋めるということもないようです。 なぜかというと、数年前から、「なんでこんなの採用したの」と、現場からクレームの来ることがふえたから。だそうです。だから、無理して採用しなくなった。 そういえば、 うちの子供の数代前は 小学校で学級崩壊。 中学でも、地域の不良のトップの子がいたり。 高校では、卒業までがまんできずに、中退の子が増えました。 息子の時は「ゆとり教育」の一番ひどい時でした。 でも実際には、息子の数年前からゆとり教育実施によるカリキュラム削減ははじまっていたのです。 でもそれを知っている人たちはごくわずかだったのではないかと思います。 兄弟がいて能力が同じでも、上の子より下の子の方がいい点数をとってきます。 親は下の子の方ができると思ってしまいます。 でも、実際には、カリキュラムが減っているせいで下の子の方が点数がよくなるだけでした。 そんなゆるいカリキュラムで育った子どもたちが高校で能力の壁にぶつかって、中退が増えてしまったのではないかと思います。 その世代の子供たちが育って、いま企業に入り始めているのです。 でも、企業側でこのことにきづいていることは、ないのではないかと、思います。それでも、最近の新卒生はなんか変だと、思い始めているようです。 その結果が数年前からの厳選採用への切り替えです。 入社しても、バタバタやめていく新卒生たち。 けれどそのあと、娘の時代にはさすがに、社会的に非難されて、「ゆとり教育」は、中止され、カリキュラムは徐々にふえはじめて、改善されてきました。 都立高校の入試制度も改善され、質も向上しました。 (それでも、私の育ったころとは、くらべるぺくもありませんが。) ただ、もうこれからは、「残業ばかりする会社中心の生活や人生が、一番、」とされるような価値観は、変わっていくはずで、それ自体はもう揺り戻しようはないのではないかと、思います。 それは、学生の質が落ちたのではなく、社会全体の、時代の価値観がもうどうしようもなく、変わっていこうとしているからではないかと、思います。 新しい価値観、新しい視野、新しい、考え方を、企業もまた、受け入れていくベキではないのかと、思います。 社員一人一人の人生や価値も大切にしてほしいと、思います。 シューカツといっても、特別なことではありません。特別な場でもありません。 人と人が話をして、相手のことを理解する。自分という人間をわかってもらう。 それだけのことなのだと思います。 難しいけどね。 相性のあう学校探しをしてきたように、相性のあう会社を探す。 それだけのことのはずですが、 でもやっぱりむずかしい。 ちなみに、息子もやっと、内定をもらうことができました。 長い長いシューカツ生活も終わりです。 よくがんばったね。おめでとう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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