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カテゴリ:社会・ニュース
ネットの中だけで盛り上がってる感があるけど、ちょっと気になったので勝間和代さんのデフレを止めよう運動についていろんなところをざざっと斜め読み。私は経済学者じゃないのでまず今の日本がデフレ状態なのかどうかすらよくわからない…。よくわからないのに「デフレなんだからこれをしなきゃだめ!」って言い方をされると、「印鑑を買わないと不幸になるわよ」って言ったりする変な宗教の勧誘みたいで警戒しちゃうんですよね…。なにを根拠に不幸になるって言ってるんだろう…って。でもたたみかけられちゃうとなんか不幸になるような気がしてきて印鑑買っちゃう人もいるのもわかる気がするし。
いろいろ読んでみると(と言っても、私が読んだのは世に氾濫している文章のごくごく一部だけど)、勝間さんの言っていることは過去の(または現在の?)経済学者などが言っていることの焼き直しで彼女のオリジナルな考えはない、別に目新しいことではない。 で、間違っているかといえば(過去に一定の理解を得たものだから)大きな意味では間違ってはいない。そういう考えは以前からあったものだけど、当然反対の考えの人もいて、実行されなかった。または実行されても失敗が予測されたので途中でやめた? というようなことらしい。 1,日本経済はデフレ状態なのかどうか。2,だとしたらデフレは解消したほうがいいのか。3,解消したほうがいいとしたらどういう方法がいいのか。4,勝間さんの言うように、これをやればすべて解決するというような(ボウリングの一番ピンのような)政策がはたして本当にあるのか。 1,2番くらいまででもう思考が止まっちゃうので、一般人が4番まで行き着くのは大変な気がします。こういう国家規模の経済についてマクロ経済というらしいのですが、マクロ経済ついて語れるのは一部の専門家のみ、と書いてあるものもありました。 そんなわけで、「勝間さんの“言ってること”が“正しい”のかどうか」は私には判断できないという結論。 ただ、勝間さんの論法とか行動についてはやっぱりちょっと違和感。 すごく美味しい有機野菜を作って直売している小さな農家がありました。有名な美食家がそこの野菜を食べたらすごく美味しかったのでお金を払って作り方を教わって、自分の農園で栽培して独自のブランド名を付けて大々的に販売し、野菜は大評判になりました。農家では相変わらず直売をしていましたが、その直売野菜を食べた人が「これはあのブランドの野菜の味にそっくりだ。類似品じゃないのか」と言い出しました。汗水垂らして美味しい野菜を作る努力をしてきた農家さんが、ニセモノ扱いされてしまったのでした。 …野菜の味がそっくりっていうのはよくわかんないけど、なんとなくそんな話を作ってみました。独自ブランド名が「勝間和代」。他人の(小難しい)理論をやさしく書き直して本にして売りまくる、みたいな。これをいいと思うか、悪いと思うかっていうのは人それぞれだと思うのです。私の場合はちょっと違和感を感じる。 やさしく書き直すことは悪くないし、美味しい野菜を食べてもらいたいという農家さんの願いと美味しい野菜を食べたいという消費者の願いを両方叶えているといえばいるのだろうけど。…でもなんかね、農家さんに対するリスペクト(尊敬の念)がないというか、おいしいとこ取りというか…。なんか違うんじゃない?って思っちゃうんですよね。なんだろ。 勝間さんの文章は箇条書きが多くて、あらすじだけの読書感想文みたい、と思うことがしばしば。名作のあらすじだけ読みたいという人も多いし、実際そういう本がベストセラーになったりしているから、いいんだろうけど、やっぱり、なんか違うんじゃない? っていう気持ちも起こっちゃう。 だけどね。こんだけ気になるっていうのはきっと私は勝間さんが好きなのだ。カツマーにはならないし、本も読まないけど。 なんか不器用だなって思う。でもそれが勝間和代なのだろうな。 真似したって、過去の経済理論の焼き直しだってなんだっていいのだ。投資顧問とか経営コンサルタントとか実践の場でその知識を活用する場合は非常に優秀なんだと思う。でも評論家とかエコノミストとかって言ってしまうとなんか違う気がする。名選手、名監督にあらず、っていうでしょ。 自分の本を売るためにはなんでもやる、って公言してるのも…なんだかなぁ。本を売ったあとの、目的がよくわかんない。自分が儲かるから、っていうのならわかりやすいけど、勝間さんのことだから、本が売れることによってなにか世の中がよくなると思っているのかな。 参考記事 ■国家戦略室への提言「まず、デフレを止めよう~若年失業と財政再建の問題解決に向けて」 (勝間和代公式ブログ: 私的なことがらを記録しよう!!) ■カツマーの教祖Vs菅副総理 デフレ対策で通貨大量発行?(産経ニュース) ■勝間和代さんのデフレ退治策、菅直人副総理は納得せず(毎日jp) ■デフレFAQ(池田信夫blog) ■複雑な問題に簡単な答はない*(池田信夫blog) ■勝間和代氏のためのマクロ経済学入門(池田信夫blog) ■[マクロ経済学] インフレとデフレと景気に関するよくある質問集(ハリ・セルダンになりたくて) ■勝間和代氏とマクロ経済学(文理両道) ■勝間和代は正しい。池田信夫は経済学のことを全然理解していない。(株式日記と経済展望) ■勝間さんのインフレ政策を実行するとどうなるのか?(金融日記) 池田信夫氏は勝間さんの天敵(?)らしくて、勝間さんに真っ向から反対する意見が書かれているけれど、こういう反対意見を読むことで問題点が見えてくるので読んでいて面白いです。あとは、勝間さんの提言に賛成、反対、入り乱れていますが、読んでみた結果、「やってみなきゃわかんないよね~」って感想。でもやってみて失敗しちゃったら日本はどん底だし、頭のいい人たちで徹底的に議論して欲しいもんです。 【追記】書いたあとに読んだ斎藤環さんの記事、面白い。うんうん、と納得できる部分が多いです。特に最後の部分。 「じつは私が勝間氏に求めたいのは、こういう視点である。ふとわれに返って「カツマーとかうぜーよ、『信者』かよ」とか「自分をグーグル化って、なんじゃそら」とうっかり呟くような自己ツッコミとユーモア。信者は多少離れるかもしれないが、言論人としての信頼感が数段上がることは保証する。」 私もまさにそう思っていた!っていうことをずばっと言ってくれててすっきりしました。さすが斎藤環さん! しかし批判ブログへ本人がコメントするような行動に対する感覚は、ちょっと違う。 「この一連のやりとりには、勝間氏の誠実さとフェアネスがよく表れている、ともいえる。そう、この点について私は確信をもっている。私はまだ勝間氏とは面識がないが、「勝間和代」という個人は、間違いなく誠実で魅力的な1人の女性であるはずだ。」 「魅力的」というのは同意するところではあるのだけど、「誠実さとフェアネス」という点に関しては、男性視点と女性視点の違いかもしれないけれどまったく逆に感じてしまいます。黙って言わせておけばいいのに…って思っちゃうんですよね。わざわざ本人に言いに行くなんて嫌な女…って。彼女が男性だったらそうは思わないのかも。 この件に関しては他のブログでも言及されていて、やっぱり斎藤氏と同じような論調でした。勝間さんが友好的にコメントしてきたので相手がたじたじしてしまった。勝間さんはフェアなのに相手は子どもっぽい、というような扱い方だったのだけど、私は勝間さんの行動のほうが稚拙だなぁと、まったく逆に感じてしまいました。だって、本人からコメント来たらたじたじするでしょう、普通。それがわかっていて(わかってないのかな)わざわざ公衆の面前でたじたじさせるようなコメントをつけるっていう、相手に恥をかかせようと意図してるとしか思えない。…なんて思ってしまうのは、女性目線だからでしょうか…。 相手は大人だから、そういう勝間さんをうまくあしらっているんだと思うんですよね。ネット上で論戦しても平行線だから。だけどそれを見て「勝間さんのほうが一枚上手」と思ってしまう男性陣って…純だなぁ…などと妙に感心してしまうのでした。 ま、そういうことも含めて、批判に対して「なんかバカなこと言ってる人がいるのよ~」っておおらかに笑い飛ばせるくらいの懐の広さがあれば、勝間さんをもっと好きになるんじゃないかなと思うのでした。 ■“勝間和代ブーム”のナゼ? 斎藤 環(精神科医)(Voice+) ■ルサンチマンの力(池田信夫 blog) ※斎藤氏の記事と併せて読むと面白いです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 10, 2009 09:04:25 PM
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