カテゴリ:食と農について
出演者:社団法人 日本青年会議所九州地区協議会 九州経済活性化委員会委員長 鷹野 秀史さん テーマ:ラジオもったいない塾第19回 「九州産で学校給食」 ○今年の青年会議所(JC)九州経済活性化委員会の取り組み ・ビジネスセミナー ・ビジネスマッチング(異業種交流会) 従来、JCではビジネス関連に取り組まないことが暗黙の了解であり、タブー視されてきた。あえて今年はその分野に踏み込んでみた。 リーダーをテーマにしたセミナー、青年会議所側のコーディネートにより必要とする人同士を結びつける異業種交流会も大変好評だった。 ・ローカルファスト実践委員会による農業体験実施 (ローカルファスト=地方が先だよ、の意) ・九州産で学校給食パネルディスカッション ○パネルディスカッションについて 九州の農業の活性化が九州全域の経済活性化につながる。九州各県が、互いに食材を補完しあう事で需要を拡大し、農業生産体制の充実をはかることができるのでは。そのためにまず、学校給食の九州産使用率100%を提案することで農業生産の安定と充実を狙いたい。 九州学校給食の食材を100%九州産で使用しようという取り組みに北九州市がモデル地区として選定された。九州全域から見て、九州産の食材の使用率が低く、比較的こどもの人口が多いところに的を絞ったところ、北九州が対象として挙がったとのこと。 パネルディスカッションでの各パネラーの意見 パネリスト:北九州市長 北橋健治氏 学校給食の現場で地元の産品を使う地産地消は意義深いものであり、地域の食文化や生産活動への理解が深まる。食に関わっている方々への感謝の気持ちの醸成に繋がるし、自然や環境を尊重する心構えといったものを自然に学べる。 九州産100%給食の日をまずは1日やってみるということで、教育委員会と協議をして、出来れば今年度中に実現したいと思う。 パネリスト:(財)福岡県学校給食会理事長 黒見義正氏 給食提供の際の問題点として、安全安心、安定価格、安定供給、安定規格がある。安定価格について、給食費は小額であり厳しいやりくりをしている。地場産は高いという事例が多く、価格が高いと、地場産を減らすか他の品物を削るしかない。安定供給について、食物アレルギーを持つ家庭を考えて献立は3ヶ月前に作り保護者に出している。 予定していた食材に欠品があると地場産品だけでは納入に間に合うかの問題も出てくる。 九州産使用率100%の為に資料作り、九州産の定義など厳密な作業が必要。学校側、生産者側の主張を調整するコーディネーター役(行政の教育・農林水産部門など)が必要。 その他、天候事情による欠品が出た際の補充システム・農薬検査の管理の問題、残食問題についても協力体制が必要。 パネリスト:九州地区農協青年組織連絡協議会副委員長 岡松 寿紀氏 農業生産体制の問題は量である。年間を通じての大量のジャガイモや大根を入れてくれというのは不可能。例えば11月から4月まで月何トンの食材が必要と事前の情報があれば計画生産は可能な食物もある。そういった情報交換ができれば、もっと九州産の農作物を使ってもらえるのではないかと思う。また視点を変えれば、農作物には旬というものがある。季節感や旬などその時々の農作物を取り入れた献立を考えて給食を通して伝えることができれば、生産者としてもメリットが大きくなるし、それに絞って生産体制を強化することが出来ると思う。また旬の時期は価格も安くなる。現在、農作物が余っている、余っていないという情報交換は行われていない。 今あるネットワークをフルにつかって農作物をひとつでも多く供給できればと思っている。また私たちが行っている地産地消のPR活動や食育活動に、行政、学校給食会、JCなどともう少しタイアップして運動としていければ、消費者や親の理解も深まるのではないかと思う。 こうした各パネリストの意見を聞いて、お互いの、協力・連携の重要さを痛感したと鷹野氏。九州産100%は目指すべきところだが、数字にとらわれず、その目標の先に農業生産の安定、食の安全、安定供給につなげていくことが何よりも大切ではないか。学校側、生産者側の思いは両者とも同じで、行政や、日本青年会議所が調整役となって、全員で協力して是非一日九州産100%の日を実現したいとお話ししてくださいました。 日本青年会議所九州地区協議会 九州経済活性化委員会の来年度は、北九州市をモデル地区として取り組んだことを全九州各県に広めていきたいとのことです。 <ナビゲーター感想> 全て九州産で給食を作ることが実はどれだけ大変なことかということは、お話しを聞くまで考えたこともありませんでした。北九州市だけで給食のある学校は130校を超えます。 しかも一日に同じ献立で提供します。食材の調達・調理・提供、そして安全安心、安定価格、安定供給、安定規格も考えていくと、やはり、十分な話し合い、協議を重ねていく必要性を感じました。しかし、この取り組みがうまく軌道にのれば、生産者にとっては、学校給食という安定供給の場を得ることができ、学校側としても、本当に安心しておいしく食べられる給食を毎日提供できるのです。是非実現していただきたいと思いました。 現在日本の食料自給率は40%と言われています。食材を輸入できなくなれば、私たちはあっという間に食料不足に陥ってしまいます。今回は学校給食をテーマに食について考える機会をいただきました。実は食の問題は常に身近なものなのに、しかしながら、それを不安に思う機会がなんと少ないことでしょう。先進国という言葉のからくりを感じずにはいられませんでした。 (ナビゲーター 千恵) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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