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カテゴリ:児童・生徒の問題
本当に掃除ができなくなったと感じたのは、学級崩壊が話題になり始めた10年前ぐらいからだったと思います。 それまでは、できない子供がいたとしても、何人かの子供が段取りよく、根気よく進めていたので、いつの間にか全体がそっちのペースに乗っていくようになりました。「できる」が主流だったわけです。 今は、「できない」が主流で、少しはできる子供たちもすぐに「できない」に乗っかるようになってしまいました。 地域や学年・クラスによって差はあるものの、下記のような状態が年々広がってきているのが現状ではないでしょうか。 ◇ほうきが持てない。・・・ふと見ると逆さに持っています。 ◇隅から掃けない。・・・好きなところから掃き始めます。隅から掃いて、最後に一箇所に集めるという段取りができません。 ◇ジグザグに掃けない。・・・教室を思い浮かべてください。教室の後ろにごみを集めるとすると、どう掃くのが効率よく出来が美しいですか?今の子供達は、一人一人が前から後ろに縦一直線に掃こうとします。それでは、うまくはけません。横に動いて壁につき当たったら反転して、逆方向へ...を繰り返してだんだん前から後ろへジグザグに掃いていくという基本中の基本がいくら言っても、デモンストレーションをしても、できません。そもそも、全体をきれいにしようという発想を持っていないのです。自分の目の前を掃くと言う「作業」を掃除の時間中になんとなくしていればいいと思っているだけなのです。 ◇余分な事はしない。・・・何か物が置いてあったら、それをどけて掃くような事を本当にしなくなりました。 ◇指示が必要。・・・ふき掃除一つでも、「ロッカーの上もふきなさい」と、いちいち指示がいります。 ◇名前を呼ぶことが必要。・・・「ロッカーの上もふきなさい」では、動きません。「○○君、ロッカーの上もふきなさい」と、個別に名前を呼んで指示する必要があります。下手をすると「なんで俺が!」と、返されます。 ◇役割分担ができない。・・・昔は、「教室掃除」「図工室掃除」と、役割分担を大まかに決めれば、自分たちで、「ほうき」「机運び」「黒板」「ふき」と、適当に役割分担ができて、動けたのに、今やすぐにけんかになります。又は、だれもやらない。 ◇じゃいけんができない。・・・さて掃除も終わり、ごみ捨て。じゃいけんでごみすてを決めるにも、集まる事さえできません。集まっても、じゃいけんの号令さえもかけられません。誰もリーダーになろうともしませんし、リーダーに従おうともしません。 最後の「じゃいけんができない」などは、末期症状ですが、全体的に広がる空気は同じです。根っこは同じところにあります。 ◆根っこのひとつは、子供達は「学校」「教室」を仲間と共同活動をする場所として認識できにくくなっています。なんとなくここにいるお客さんでしかないのです。彼らにとって「仲間」とは、ごく限られた自分に都合のいいお友達だけです。仲間以外の人と共有している空間に興味はなく、そんなところを掃除しなければならない意味が見出せないのだと思います。 ◆根っこのもうひとつは、脳が動かない事です。そして、体も反応しない。よく、「体で覚える」と言いますね。それができない。たぶん、学校だけではなく、家でもお客さんなのでしょう。あるいは、自分の部屋は片付けられても、家を片付けるという発想ができない、又は、自分の家は片付けられても、公共の場所を片付けるという発想がない。 勿論、低学年から掃除の方法は指導をしています。それでも、結局は、相当な労力をかけないと、できなくなります。高学年になってもあまりにも程度が低くて、言葉を失うようなときもあります。 昔は高学年になるほど、こっちが仕事をしていても任せておけば勝手にやっていてくれていました。今やずっと指導をしていなければなりません。 教室掃除など、4人もいれば十分にできます。昔は放課後にやっていたと思いますが、なぜかこの頃は、なぜか昼休みの前か後に全員掃除が主流になっています。かえって指導が行き届きません。少数精鋭で、放課後にできるまでびっしびしに指導できたらいいのにと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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