テーマ:雪(24)
カテゴリ:北国の生活
燃える雪 利雪 氷室 雪による冷房
昨日は雪が降り一時は吹雪で風雪注意報も出されました。その後は雪が降らないとの予報でしたが深夜に降ったらしく朝にはまた積雪がありました。最高気温も1.4度との予報で寒いです。 北国の寒さを利用して造られた食品というものも色々あって寒いがゆえの利点です。では雪はどうでしょう。 雪害による損失や除雪費用などのために莫大なお金が投じられますが、この雪を有効利用しようというのが利雪(りせつ)です。収穫した野菜を雪に埋めて保存する方法や氷室(ひむろ)で氷を保存して夏場に使うなどは古くから行われていますがこれも利雪です。 雪を観光資源として使用する雪まつりなども利雪ですが、もっと幅広く雪が利用できないかとの研究も行われています。 冷蔵や冷凍機器の進歩で古くから利用された氷室なども一時は駆逐されましたが、雪を利用して保存する方法はこうした機器による保存に比べて野菜を自然状態で保存できるとのことで見直されています。 雪を氷室で保存すると湿度が90%に保たれることから野菜の貯蔵に適しているんです。NPO法人利雪技術協会(事務局・北広島市)によればこうした施設は北海道に現在約80カ所あるそうです。 クリーンな冷熱源としても注目がされています。沼田町では町内の雪を約5千トン集め、砕いた樹皮で覆って夏まで保存する沼田式雪山センターが今月造成されました。必要に応じて雪冷房施設などに供給するとのことです。 美唄市では世界初の雪冷房マンションが1999年(平成11年)に誕生しています。札幌市のモエレ沼公園の施設では夏場まで保存した雪を溶かし、それを熱交換して循環し冷房に利用しています。1735トンの雪を使った場合で二酸化炭素30.8トンの排出削減ができたそうです。 雪を「冷熱エネルギーととらえたら膨大な資源である」それを莫大な費用をかけて「捨てている」雪は「まさに自然からの贈りもの」と語るのは室蘭工業大学大学院工学研究科教授である媚山 政良(こびやま まさよし)工学博士です。 同氏によれば雪融け水は分子が小さく硬度5度以下の超軟水で生物が吸収しやすいそうです。これを農業用水として利用する方法を研究しています。ちなみにこの水は二日酔いにも効果があるそうです。 また同氏は燃える雪の研究もしています。氷の結晶はサッカーボールのような形をしていますがその中心部には空間があり、ある温度と圧力を与えるとプロパンガスやメタンガスの分子を取り込むことができ、この状態を3日間ほど維持すると燃える雪ができます。 冗談のような話ですが世界に31億頭も飼われている牛、羊や山羊のゲップに含まれるメタンガスは、温暖化ガス総量の5%(国によっては 30%超)に達するといわれていて、ゲップを抑える研究が行なわれているほどとのことです。このゲップのメタンガスを雪に閉じ込めて燃料として利用するというのは、雪の有効な利用法の一つになり得るとしています。 研究が進んで雪が貴重なエネルギーとしてどんどん活用できるようになればとても嬉しい話ですが課題もあって容易では無いようです。将来はクリーンなエネルギーとして普通に利用できる時代がくるかもしれませんね。 東京オリンピックのマラソンが真夏に行われることで様々な問題が懸念されています。そこで雪を利用して少しでも涼しい環境を作ろうとの実証実験も行われています。雪国に住む者として嬉しい話題です。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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