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カテゴリ:旅路
母娘で青森旅行2日目。ついに今回のメインイベント「恐山」参りです。
「恐山」およびその周辺に宿泊する勇気がなかったので、 青森市内のホテルに連泊し、日帰りすることにしました。 この日は何とか天気も持ち直して青森は曇り。 雨の恐山はあまりに辛いので、まずはほっと胸をなで下ろしました。 青森より-4~5℃は寒いと聞いていたので、相当着込んで出発。 恐山は、下北半島を斧に見立てるならば「斧の刃の中央部」にあたります。 まず青森駅から東北本線に乗って“野辺地”を目指します。 幸い快速(←それも一両の列車。チョロQかと思った)に乗れたので“野辺地”を経由して、大湊線“下北”に到着したのは午前11時前。 電車内で語られる「下北」とは当然ながら「下北沢」じゃなくて「下北半島」・・・。 わかっていてもその両者のイメージの違和感が埋まらない・・。 青森を出る時は薄日が射していた空が、段々重苦しく曇って小雨が~~・・! 「下北」駅に着いた時は、空はまるで2月頃の灰色の重い空と霧雨・・・。 駅から少し離れたバス停まで歩くと、「恐山霊場行き」の掲示があるバスが待機していました。お客さんは運転手さん以外はまだ誰もいません・・。 心の中で「そりゃ~こんな天気で誰も来ないだろうけど、そりゃないだろう?」と突っ込みましたが、その後も私達二人以外乗客は現れず、運転手さん入れて3人で出発・・。 (結局、終点「恐山霊場」まで誰も乗って来きませんでした) バスは次第に山道にさしかかりましたが、同時に周りがやけに白っぽくなってきました。 き、霧です。あっと今に周りは深~い霧。5m程度しか見えない。 ちょっと、ちょっと、ちょっと!!話でき過ぎ!! もう「偉いところに来てしまった」と思い、 持っていた塗香をごそごそ出して首から腕から塗りまくりました。 バスのアナウンスも、恐山の由来や解説がメインになり、 山道で霧に包まれ誰もいないバスの中でご詠歌まで流れています。 横に座っている母親を見ましたが、やはり「固まって」います。 私が運転手だったら、こんな路線の担当絶対したくない。 バスに乗って約45分、次第に硫黄の臭いがしてきたけれど霧はちっとも晴れないまま終点「恐山霊場」に到着してしまいました。 正直、「え、本当にここで降ろされるの!?」という感じです。 周りは霧で真っ白で全く見えず。正午頃のハズなのに、何でこんなに暗くて白いの?? 母も「次、バスが来るのは何時ですか!?」と必死に運転手さんに聞いているところを見ると、私と同じく相当びびっている様子。 次に下山のバスが出るのは12:30。それを逃すと15:50。 母親はもう12:30のバスで即帰るつもりらしく、超早足で総門に向かって歩いています。 やっぱり母娘だわ。その気持ちはよくわかる。 幸い、バスには誰も乗っていませんでしたが自家用車で来る参拝者もいるため、 まばらですが人がいました。 山門を前にして、奥の本殿を見ましたが・・・霧で全然見えません。 こんなの初めて。もう完全に私にとっては異界。怖すぎです。 なんとか勇気を出して山門をくぐり本殿のお参りを済ませました。本殿横には荒涼たる「地獄巡り」が広がっています。 まだちょっと時間もあるしせっかくここまで来たんだからと、家族連れらしき3人組が歩いているのでちょっとその後をついて一歩を踏み出してみました。 周囲の景色を例えるならば、那須・殺生石の周辺に似ていますが、もっと寂しくもっと不可思議です。おまけに凄い霧で5m周囲しか見えません。 ガイドブックとかでは、すっきり晴れ渡ったなかで奇景が広がっている写真が掲載されていますが、霧の中だとなんだか日本なのか全く別のどこかなのかよくわかりません。 硫黄の臭い+「地獄巡り」といえば大分・別府しか思い浮かばない私ですが、 南国の地獄と北国の地獄はやっぱり違うようです。同じ地獄でもやっぱり南国の方が地獄の片隅でゆでた卵を売ってたりして明るくていいかも。 霧の湿気のせいで段々体は冷えてくるし、前の家族連れについていくうちに遠くへ来てしまい、母娘プチ遭難状態。不安丸出しな母。「賽の河原」も霧のせいで陸地と水際の区別すらつきません。 まさしく異界。前の家族はさらに奥地へ行くようなので(←註・ちゃんと生存反応のある普通の家族でした。)、途中で袂を分かって母娘二人で地図を頼りに本殿を目指しました。 元をただせば、母は「亡き父がもしかしてうっかり恐山に来ているかも!?」と思う事もあり、一度確認に来て見たかったそうですが、実際に自分で来てみて「(父は超寒がりなので)こんなに寂しくて寒いところには絶対来ない」と確信したようです。まぁそれで気が済んだんなら良かったです。 霧と寒さで震えながらなんとか無事本殿まで生還しましたが、12:30のバスは既に出た後。 でももう15:50まで待ちきれなかったので、迷う事なくタクシー呼んで下山しました。 「下北駅」→「青森駅」と、恐山を離れるほど天気が良くなってきたのはまさに俗世に戻って来た歓びです。 恐山・・・本当に恐るべし。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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