最近この歳になってシネコンで見る映画の快適さに目覚めたようです。今日は「それでもボクはやってない」(周防正行監督)を見ました。公式サイトはここ。
すでにTVなどいろいろなところで宣伝しているので、ストーリーを何となくご存知の方も多いと思います。簡単に言ってしまえば、痴漢冤罪にされた青年が裁判を闘う話です。満員電車に毎日のように乗る身として、男であれば誰でもいつでもこのような冤罪をなすりつけられ、裁判沙汰になってしまう可能性はありますので、身につまされる内容でした。
このストーリーは、別に最後冤罪が晴れて、ハッピーエンドになるというような話ではありません。映画の中で、裁判になったら99.9%有罪、無罪になる確率は1000人に一人と言っていました。最初から犯人であるという前提でろくな捜査もしない警察、裁判の処理件数で評価される裁判官や検察官、難しい裁判用語や裁判手続き、家にそういうタイトルのアダルトビデオがあるだけでそれが立件の証拠のひとつにされるなど信じがたい部分もあります。周防監督がTV番組で言っていましたが、そのように実際に当事者にならないとなかなかわからない日本の裁判制度の問題点について指摘することがこの映画のテーマということでした。実際、最後は無罪で終わると思ったら、公判途中から交代した官僚的裁判官が「有罪。懲役3ヶ月。執行猶予・・・」と判決を下し、控訴する場面で終了します。
裁判とは関係ありませんが、1年前くらいに実家に「お宅の息子が電車で痴漢をして捕まった」などという振り込め詐欺の電話がかかってきたこともあります。また、この映画では車内で扉にはさまったスーツのすそを抜き取ろうとした不自然な動きが痴漢と誤解される一因にもなっています。ほんの少しの何気ない動きが思わぬ方向へ行ってしまう可能性が自分の身近にあることに改めて気づかされます。実際に痴漢冤罪で無罪を勝ち取った人はいますが、そこに至るエネルギーは相当なもので、失うものも大きいと思います。ひとごとだと思わずに、自分もそういうリスクの中で毎日生きているということに常に留意をしておかなければいけないと思いました。
明日はバンザイして満員電車に乗ろうと思います・・・
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