日曜の夜9時からNHKで不定期に「激流中国」という番組をやっています。中国の今の社会問題についてスポットをあてたドキュメンタリーですが、今日の「病人大行列」という話は今まで見た中でももっともすごい話だったように思います。
北京では老舗の大病院「同仁病院」を舞台にした話でしたが、まず早朝5時から病院の入口に並ぶ大行列。そこに人気のある医師の診察券を売るダフ屋のような輩。救急車で運ばれてきた意識不明の患者の家族に救急車代をいきなり請求する病院関係者。さらにその家族に受付(掛号)料を矢継ぎ早に請求する別の看護師。
これだけでも十分すごいですが、さらに話はまだまだ続きます。番組では安徽省の貧しい農村から子供の目の病気のためになけなしの金を使って、汽車ではるばる同仁病院になんとかやってきた家族と、まったくこれと対照的な、病院ビジネスとして富裕層中心の経営にひた走る院長のことを交互にやっていました。
安徽省の農民は田舎に帰れば年老いた病気の母親を抱え、子供の治療費を最近始まった農村医療保険で一部払い戻しをしてもらおうと村の事務所に行っても、「入院していないから払い戻しはダメ」と言われて途方に暮れる子供の母親。子供は片目を失明してしまい、もう一方は何とかレーザー治療で回復しましたが、半年に1回は再検査してくれと医師に言われ、さらに困惑する母親。
一方の、院長は「市場経済下では利益を出すために患者の差別化サービスが必要。国からの財政補助は5%にも満たない。貧しい人の医療は政府がやること」とし、さらに事業拡張のため近隣の古い住宅を一掃して新たな巨大病棟を立てるために、政府の官僚などVIP患者に近づこうとしたり、さらには南京に総合病院と高級不動産、高級老人ホームと一体化した「同仁ワールド」を建設中と、着々とビジネスを広げています。
まだまだいろいろありましたが、中国は本当に国は何も助けてくれない、冷酷な、ある意味究極の資本主義社会だなあと改めて思いました。社会保険制度も不完全で個人任せ、あれほど外貨収入があるんだから、こういうところに少しでも回せばいいのに、と思いますが、一体どうなっちゃっているんだろうと思います。日本の後期高齢者保険問題も問題はありますが、中国の状況に比べれば、日本は本当に幸せだと思います。
あの状況の中国をみると、本当に深刻だと思います。チベット暴動もありましたが、年間8万件も暴動が起きてもおかしくないと思いました。日本に密入国してわざと犯罪を犯し、刑務所に服役中に病気を治療して帰国するなどという不届者が結構いると聞きますが、そういうことを考える輩がいてもおかしくないと思うほど、今の中国社会の病巣は相当なところまで来ていると感じました。
しかし、この番組、いつも思いますが、よくここまで突っ込んだ取材ができるものだと感じます。中国もそういう意味では相当開けてきたというのは間違いないと思います。。
人気blogランキング
中国BLOGGER人気ランキング
できればポチっとひとつよろしくお願いします