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2004.07.21
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カテゴリ:映画
暗い主人公と淡々とした話。
とにかく暗く、そして詩的。
ちょっと読みつかれる感もあるけれど、
言葉の操り方にとても魅了される一冊。
何度も読み返したら、その度に味の出る
するめのような作品。

この孤独さ、そして孤独で、客観的で冷静なのだけれど、
いたく素直な、オトナコドモな感じが、
故菜摘ひかる嬢の書くそれとすごく似ている。

好きなのに別れるという、
救いようのない選択肢を選ぶ女はきっと少ないだろう。
そんな少数派の彼女たちの小説は
本当に救いようがない。

なのに、希望が見えてくるから不思議だ。

以下、著書より抜粋。
言葉の魔力に取り付かれそうになったなら、
是非購入して読んでみるべし。


:恋人は泊まっていく日もあるし帰る日もあるのだ。
:私は浮かれて散歩に出たことをあやうく後悔しそうになり
:すんでのところで戒めた。後悔は嫌いなのだ。
:帰り道、私は注意深く来た時と別の道を歩いて帰る。
:上手く一人に戻れるように。

:どんなに愛してるか囁きあう。
:それはほとんどゆるやかな自殺のようだ。
:彼は私を愛している。私はそれを知っている。
:私は彼を愛している。彼はそれを知っている。
:わたしたちはそれ以上何も望むことがない。
:終点。そこは荒野だ。

そんなに好きなのに、彼は離婚などしない。
彼女はそれをわかってる。
だから悲しいだけの関係。
堕ちるしかない本なのに、
美しい言葉の数々に心を動かされるのも現実。





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Last updated  2004.07.26 05:49:51
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