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品田知美の空中庭園

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Ayami0719

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カテゴリ:メディア
ひさしぶりに読み出したら止まらない本に出会った。「J.K.ローリングその魔法と真実:ハリー・ポッター誕生の光と影」ローリングの伝記である。心の片隅で気になっていた本だったが、子どもが生まれた友人に贈る絵本のコーナーで、包装してもらっている間に、ようやく目にすることができた。
 ご多分にもれず、私もハリー・ポッターファンの1人である。子どもの頃、英国児童文学にハマった記憶が蘇り、子どもを差し置いて楽しんでいる。ローリングと私は年齢がほぼ同じ。ハリーが映像に登場したころの年齢は息子と同じ。内容はともかく、著者とは遠く離れた場所にいながら、時代の感性を共有しているような気がしていた。
 伝記を読んで、それが偶然ではないとわかった。彼女はパンクロックに傾倒した時期がある。お気に入りのバンドの1つは私もよく聞いていた「スミス」だという。そして、思いっきり空想の世界に耽溺できる、幸せな子ども時代を過ごしていること。
 もちろん、彼女のような天才的な作家と私が、共有できる生い立ちはわずかである。違いを思い知らされたのは、ローリングが「11才から20才になるまでの1年1年を鮮明に覚えている」というくだりである。児童文学を書く者の生命線が、子どものころに感じたことや考えていることをはっきり覚えていることだ、と彼女はいう。この時代、長い忘却のトンネルに入っているかのごとく過ごしてしまった私には、絶対に児童文学は書けない。
 子どもの頃の幸せな生活とは一転して、成人した彼女の生活は苦難の連続であった。ひょっとすると、この反転こそが児童文学作家を生むのかもしれない。母親の若かった死は、ハリー・ポッターの世界にも見え隠れする影を作り出したであろう。独特のウィットや洞察の深みは、彼女の歩んできた苦労と切り離せない。人生そのものを小説に結実させることができる才能と運に、ローリングはめぐまれたのだ。
 ローリングの生い立ちを知ると、人の才能はつくられるものというより、授かるものだと感じてしまう。そんな才能を開花させた英国社会の懐の深さにも、まだ学ぶべきところがあるように思う。





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Last updated  2005/02/02 04:52:48 PM



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