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ときどき自宅でパソコンに映写機をつないで即席のDVDシアターをする。きょうは、北野武のHANABIをみた。なんといっても世界でいま一番知られている日本映画だし。あまり北野作品が好みでない私も一度はみておこうか、ということで。
やはり賞をもらった作品だけあって、綺麗に創られている。久石譲の音楽が哀愁を誘う。途中で「風の谷のナウシカ」を思い出してしまった。ここには日本映画の本流がしっかりと受け継がれている。黒澤映画で流される血と、小津映画の沈黙。北野は新たに「笑い」を加えた。ゴダールばりにいりくんだ構成と、いきつもどりつする時間の流れに脱帽である。 それにしても、なんだか居心地の悪い映画だった。やはりたけしはTVの人である。彼は「日本」を訴える術をじつによく心得ている。随所に取り入れられている日本的なるもの。これがあざとさを感じさせる。最後の少女が持っている凧は象徴的だ。ああいう服のあの年頃の女の子が海岸で凧揚げするか?結局心中するのかオイオイ。あまりにも古典的。 随所に挿入される絵など、映像の美しさは秀逸である。だからこそとても残念である。ここには心情しかないのだと開き直ってしまっている様子が、現代日本のそこかしこにみえる右っぽい現象に、妙にぴったりとシンクロしているようで怖かった。救いなのはジャパニーズクール人気の支え手となっている若い子たちに、HANABIはそれほど受けていなさそうなこと。彼らはポケモンと「原宿ガール」みたいなウエットとは無縁の日本の方が魅力的なようだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006/03/25 09:37:16 AM
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