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品田知美の空中庭園

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Ayami0719

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カテゴリ:家族
 離婚後300日以内に産まれた子どもを前夫の子とみなす、という制度のあまりの不合理さにようやく官庁が重い腰を上げ始めた。300日だと離婚してすぐ妊娠しても、少し予定日より早めに産まれただけでダメである。救済策ではこの人たちだけが条件付きで今の夫の子とみなしてもらえるらしい。「子どもはイエのもの」という家制度の名残が強い民法規定が、現代的な親子関係の認識と完全に合わなくなってるのである。
 厚生労働省が児童手当の申請などを認めたし、外務省は条件つきながら旅券の発行を認めようという動きがある。皮肉なことに、部分的な民法改正すら認めないと、現政権の中枢を担う政治家たちがまったをかけたため、制令での対処しかないという流れになった。民法改正が家族制度を崩壊させる「アリの一穴」になってしまう、という保守派の恐れから始まったというこの展開が、もしかすると戸籍制度にとっては崩壊への第一歩になる。人々の生き方と制度が大きくズレていると、ついに露呈してしまった事実は大きい。近代的な社会で、制度に人々を従わせようと思ったら必ず無理が生じて破綻する。だから人々の日々の営みに合わせて制度を変えていくことが本来の政治のはずなのだが、、、。政治家がどれだけ信念を持って「家族制度」を維持させようと試みても流れは変えることができない、と歴史を学んだら人はそう考える。
 私は事実婚を選んでいる。戸籍制度が自分のしたい生き方と合わないからという単純な理由からだ。子どもは1人ずつ私と夫の姓をついでもらった。意外に私の周りにはそういう友人/知人が少ないけれど、つい数日前に、事実婚している幼なじみと10数年ぶりに話す機会があった。家族に姓の異なる夫や子どもがいると「なにか重大な秘密が隠されているのではないか」、と周囲は遠慮がちで質問すらできないという経験を私もしているが、彼女もそうらしい。私は、なんで戸籍作るために姓をかえなくちゃいけないの?という程度で、わりと単純なところでやっているので、なるべく最初に「ややこしい家族でごめんなさい。事実婚なんです~」と言うようにしている。表面的には「あ、そうなんだ~」程度ですぎていくものである。最近では気にもしていないので久しぶりに今回の話題で思い出した。
 それにしても、この300日規定がらみで「無戸籍」の子どもが毎年1000人に1人くらいは出現しているらしい、と計算してみてあらためて驚いた。これだけの数であれば世間もさすがに無視はできない。私の場合にはたまたま子どもは無戸籍ではなく、一度婚姻届けを出してペーパー離婚しているために、2人とも嫡出子で現民法でも不利益はない。幼なじみは一度も婚姻せず非嫡出子とする道を選んだ。嫡出かどうかで子どもの相続に差別がある民法規定こそが、自民保守派にとって変えては困るところなのだが、そもそも戸籍がなかったら差もつけようがない。戸籍がなくても日本国籍は認められ、育児手当ももらえるということになっていくことで戸籍制度はますます空洞化するだろう。この方がより本質的な変化をもたらす。そして戸籍がないと法律婚はできない。つまり無戸籍の子は事実婚になる。東アジア独特といわれる戸籍制度の神髄はなんといっても、親の履歴がたどれるところにあった。だから「戸籍が汚れる」などという言い方がなされるのだ。ここが変わるとかなり深い部分から社会が動く。
 考えてみれば夫婦別姓制度を含む民法改正法案を葬り去ったときから、この状態は予想されていた。私もあの節目にもう別姓制度で法律婚なんてめざす必要ないわ、とすっかり開き直ってしまった。戸籍制度の枠組みを壊さずにいかに現代の変化を取り込んでいくかを考えた苦心の末につくられた改正法案だったのに、それでも保守派は反対しつづづけた。法案を改正してもしなくても、人の暮らしと家族の関係は現実にどんどん変化する。戸籍のない外国籍の人も増え続けている。いつか必ず制度を変えるしかなくなるであろう。戸籍なんて別にいらないよ、と日本人がいえる日もそう遠くないような気がしてきた。





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Last updated  2007/05/04 12:27:10 AM
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