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ついにここまできたか、と思わずにいられない記事をつづけて2つ目にした。
1つは、離婚が環境に悪いという論文が米国のPNASというかなり知られた科学紙に載ったという記事。もう1つは、日ごろ読んでいる日本の新聞で「大家族で住むのは環境にいい」という理由を説明している記事。どちらも大まじめであった。 じつは私も講義で環境の話をするときには、世帯人数が少なくなると1人あたりの資源やエネルギー消費量、ごみの量などが増えるというデータは示している。これはエネルギー関係者にはよく知られた事実なので、いまさら目新しい事実でもなんでもない。1人暮らしするんなら、ルームシェアなんかもいいよ、とすすめたりすることは私だってある。家族のかたちがエコロジーと深く関わっているのは事実である。 でも、だから「離婚しないほうがいい」とか。「核家族より拡大家族の方がいい」、とは絶対にいわない。そんなことが簡単にいえる社会学者はモグリだろう。自然科学の人は、意外にこういうことをさらっと言えてしまうのだ。かつて工学の人だった私はその思考様式も想像できるだけに、なかなか辛い。 私は家族・環境双方の社会学会で研究活動をしている変わり種である。日程が重なったりして困ることさえある。それほど両方で活動してる人は少ない。日ごろこういう研究がどちらの学会でも話題になることはほぼありえないだけに、世間はすでに先を行っているのだとあらためて実感させられた。 家族の規模が小さくなっていくのも、それなりに理由あってのことなのだ。より従来型の家族から離れた自由な人生を選びたいという人々の価値と、環境への負荷を高めないほうがよいという価値は別ものである。どちらか一方の価値がより重要だ、と簡単に優劣はつけられない。エコロジーのために離婚を思い止まる人は、まずいないだろう。人の常識的な思考は、環境を研究する科学者の思考よりもまっとうなのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008/10/19 07:20:55 PM
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