テーマ:たわごと(26804)
カテゴリ:詩・小噺
「何がそんなに悲しいの?」 君の冷たい白い手が、ぬるりと私の頬に触れた。 私の意志とは関係なく流れ続ける涙、その跡を指で辿る。 私を見る目は硝子玉みたいに透き通っていた。 そこには 皮肉も 軽蔑も 悪意も 同情も 困惑も 情愛も 映っていなかった。 純粋な疑問。 「誰にでも優しいって言うのは、誰にでも優しくないって言うのと同じだよ。」 私の言葉に、君は困ったような顔をし、少しの間の後に微笑んだ。 その泣いているような笑っているような君の表情は、雨上がりの空に似ていた。 むせ返るような埃っぽい匂いと、清浄な空気と。 私の涙は留まることを知らず、雨もまだ止まない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年06月13日 09時19分14秒
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