カテゴリ:美術館・展覧会
上野の東京都美術館で、「ルーヴル美術館展 フランス宮廷の美」を堪能してきました。
2008年4月6日(日)まで開催されています。 パリのルーヴル美術館を訪れると、つい絵画や彫刻に目を奪われ、膨大な数の美術工芸品や家具まで、なかなか見る余裕がありません。 ルーヴルといえば、モナリザ、ミロのヴィーナス、サモトラケのニケ、ダヴィッドのナポレオンの戴冠、ラファエロやダ・ヴィンチの聖母子、ヴァトーのジル…。 絵画の主要作品に限っても、とても一日で見切れる量ではありませんね。 今回の展覧会では、そのおびただしい数の作品群の中から、フランス宮廷文化が最も洗練され絢爛と花開いた18世紀の美術工芸品にテーマを絞り、当時の宮廷で愛用されていた贅を尽くした品々が、非常にスッキリとわかりやすく展示されているのが大きな特徴です。 特に、曲線を多用したロカイユ模様に代表される、優美なロココ美術の時代に、芸術家を庇護し文芸に深い理解を示したルイ15世の寵姫ポンパドゥール夫人。 華やかなドレス・髪型で話題をふりまき、室内装飾には新古典様式を好み時代の先端を走りながらも、国民の憎しみをかい断頭台の露と消えたルイ16世の王妃マリー・アントワネット。 この二人が愛し、ヴェルサイユ宮殿を舞台に洗練され発展を遂げた二つの芸術様式を比較することは、またこの展覧会の楽しみの一つでもあります。 ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ フランソワ・ブーシェをはじめ多くの画家や彫刻家を重用し、ロココの華とよばれたポンパドゥール夫人。 フランソワ・ブーシェ 『ポンパドゥール侯爵夫人の肖像』(部分) Portrait de la marquise de Pompadour 彼女が所有していた、 ・金製で彫金細工が施された繊細な「コーヒー挽き」、 ・セーブル製作所で作られた一対の薄緑の地の「枝付き燭台のポプリ入れ」 (正面は花の絵ですが、裏は中国人の絵(中国の情景)、 ・国王から贈られたベルヴュー宮を飾った「シノワズリーの装飾付きの薪台」、 ・同じくエリゼ宮(現・大統領官邸)を飾った「ひび焼きの青磁の壺」 は必見! 一対の優美な「蒔絵 水差し」は、ポンパドゥール夫人のコレクションを経て、後年マリー・アントワネットが所有したという貴重な品。 日本の漆器がブロンズと出会い、さらなる高みへ。ため息とともに見とれます。 ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ シャルル=アンドレ・ヴァン・ロー 『マリー・レクザンスカの肖像』(部分) Marie Leczinska ルイ15世妃マリー・レクザンスカと、寵姫ポンパドゥール夫人の肖像は、ルーヴルでもここでも意外と近い場所に展示されていて、少しお気の毒。 といっても「公式の愛妾」という制度が脈々と息づいてきたフランス宮廷の歴史と現代の道徳基準は、もちろん並べて語ることはできません。 ちなみに、マリー・レクザンスカの父はポーランドの美食王スタニスラス・レクチンスキ。 娘が夫のルイ15世の関心を買えるよう、次々と美味しいお菓子を娘に伝えていました。 ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ 18世紀美術工芸品の最大の見所が、もう一点。 わずか8.5cmほどの小さな小さな 『嗅ぎ煙草入れ』。 楕円のものが多いです。 一番上の写真左側、濃いピンク色のチラシで紹介されている金色の箱も、嗅ぎ煙草入れです。大きく見えますが、これも4.2×8.2×6.4cmという小ささ! これだけの数が一同に集まったのも感動的ですが、なんといっても圧倒されるのはその華麗な美しさ。 肖像画付のもの、金・彫金細工・エマイユ(七宝)の組み合わせ、そして圧巻なのは金細工にダイヤモンドの象嵌 小箱の豪華さに、目が釘付けになってしまいます。 これを堪能するためには、正面からだけでなく、置いてある鏡に写る裏も底も見なくては。 …というわけで、今回の展覧会に関しては、なんとしても少しでも空いている時間帯を見つけ出し、近くでゆっくりと眺めることが必要になってきます。 私と友人は、がんばって朝9時半に会場に着きました。(開館は9時から) 平日の早朝ということで、じっくりと至福の時を ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ そして悲劇の王妃マリー・アントワネットの時代。 一番わかりやすい注目点は、家具の脚でしょうか。 ロココの女王と思われがちなアントワネットですが、実は彼女が好んだのは装飾が多く曲線が特徴的なロココ美術ではなく、シンプルにスッキリまっすぐにのびた椅子の脚などに象徴されるネオ・クラシック(新古典主義)様式。 ロココの“猫脚”の椅子と、アントワネットが注文した椅子とを比べてみて下さいね。 最後に、この展覧会で、絶対に見逃して欲しくない品をご紹介します。 主亡き後、愛用の品が残って切ないのは、『マリー・アントワネットの旅行用携行品入れ』。 フランス革命前年の1788年に作られているところが暗示的です。 旅行鞄のようなケースの蓋を開けると、蓋の裏にも中にも50以上の器物がこまごまと仕切られてぎっしり入るように作られています。 かなりの数の品に、王妃の名前のMAの組み合わせ文字が。 ティーポットやカップ、銀のカトラリー、水差しと洗面器、はさみもあります。 長い柄がついた銀の鍋のようなものは、ベッドを暖める“あんか”。 アントワネットがおとぎ話のお姫様ではなく、実在の人物だったことを思わせる、強烈な生活感がこの鞄に詰め込まれています。 お写真は、asahi.comによるこの展覧会の公式HPからご覧下さい。 なお、この展覧会は、2008年4月26日(土)~7月6日(日)に神戸市立博物館でも開催されます。 ルーヴル美術館展に行って、嗅ぎ煙草入れが見たい!と思われたら ↓を押して応援して下さいね☆ いつもクリックありがとうございます♪ 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 ↓ ↓ 《ガレットのお菓子日記~お菓子作りの道具と材料》 (楽天)Homeへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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