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シューフライパイ、ピーカンバーク、クレメンタイン、ブニュエロス…。
形も材料も想像がつかないような名前を持つアメリカのお菓子やデザート。 その中には、先祖から脈々と受け継がれてきた民族独自の食文化を大切にする人々の、様々な思いが隠されています。 …などという話は、『自由の女神が愛したアメリカンスイーツ The Sweets of Liberty』を読み、初めて知ったこと。 表紙(部分) アメリカの食文化? お菓子といえば、パイやクッキー。マフィン、ドーナツ、アイスクリームにニューヨークチーズケーキ。 お誕生日には四角くて平たい大きなケーキ。その上には赤や青など鮮やかに着色されたクリームで絵が描かれ…。他には何が? お料理は、ハンバーガー、ホットドッグ、バーベキュー、ステーキ、シシカバブ…うーん。チリコンカン♪ 改めて問われると、私、アメリカ人の食生活について、およそ表面的なことしか知らないのだと気づきます。 歴史が浅い国。大味な食べ物。お菓子や料理に関する興味は西欧の方に向き、あえてアメリカ合衆国については知る必要もないかと、通り過ぎてきました。 そんな思いにガツンと喝をいれてくれるのがこのご本。 よく知っているようでいて意外と知らないアメリカの歴史と食文化を、順序だてて整理し、わかりやすく説明されています。 本の中では、アメリカで愛されている食べ物を、ある時は家族の食卓に、またある時はパーティーのシーンにと、美しいテーブルセッティングの写真でご紹介し、同時にレシピも公開。 他方、大西洋を中心とする世界地図をもとに、西欧とアメリカとの関わりを解説。地域ごとにアメリカの歴史を紐解くという太い柱を持ちます。 『自由の女神が愛したアメリカンスイーツ』 西脇千賀子・著 広い広いアメリカ。現在は数多い人種がひしめく大国。 先住民を押しのけるように、大西洋を渡りこの地に入植したヨーロッパ各国の人々。 彼らはどのような困難を乗り越えて新大陸に定住し、何を食べどんな社交生活を営んでいたのか。 感謝祭とはどういう意味を持つのか、移民同士の間に存在した生活水準の差とは…。 ボストン茶会事件・独立戦争・南北戦争・ゴールドラッシュなど、いくつもの有名な出来事が、それぞれどんな場所でどういった背景で起こり、どうつながるのか。そこにいる人々の暮らしぶりと食生活とをからめて、一つ一つ丁寧な説明がなされます。 淡いピンク色の装丁から連想される、美しい食卓芸術を見る一方で、非常に骨太な歴史書を一冊読み終えたような、ほ~っ、と大きなため息が。知っているはずなのに意外と知らないアメリカについて、思いを馳せることになりました。 誰もがよく知るパイやタルトやクッキーに秘められた民族の歴史。 コーヒーか紅茶を片手に、ゆっくりじっくり読んでみたい魅力的な一冊です。 著者の西脇千賀子さんは、愛知県で大きなお菓子教室 Cake Studio “N”(ケーキスタジオ“エヌ”) を主宰されている食卓文化史&洋菓子研究家。 彼女は、華やかな明るい笑顔と、きさくなお人柄が魅力の非常に真面目な勉強家。 豊富な海外生活の体験のみならず、外国語の文献を数多く読みこなし、西欧とアメリカ双方の歴史・食・美術などを研究し続ける国際人です。 以前、お教室運営について私が悩んでいた頃、ご自身のお教室の様子を参考にと温かいアドバイスを下さった、尊敬すべき大先輩。 どうしても興味が持てなかったアメリカの食文化。 今回このご本を読み進むにつれ、次第に湧き上がってくるアメリカの食に対する好奇心に、我ながら不思議な思いがしています。 辞書代わりに手元に置き、何度も読み返したくなる本だと思いました。 アメリカの食べ物に興味がない方に、おすすめします。 自由の女神が愛したアメリカンスイーツ <注意> 楽天ブックスで、取寄せ(メーカーに在庫確認)の表示が出ている場合、最長14営業日待たされた結果、在庫がなく「注文取消し」とされる場合があります。 取寄せ(メーカーに在庫確認)の場合は、お急ぎの方は書店もしくは他の機関で購入される方が確実です。 アメリカの食文化に興味がわいてきた♪と思われたら ↓を押して応援して下さいね☆ いつもクリックありがとうございます♪ 一日一回カウントされます。よろしくお願いしま~す。 ↓ ↓ ガレットのお菓子日記 Home へ 食べログへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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