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カテゴリ:長編ノベル
文化祭が終わった。 俺の高校では、夏休みが明けると早々に慌しくなり、進学校でも勉強を熱心にする人が ほとんど失せるくらい忙しく、懸命に創り上げていた。 正直、ここまで立派にできるとは思わなかった。 はじめて自分の高校にいて、人と沢山接して、幸せを感じたのかもしれない。 文化祭の後夜祭でも、先輩のパフォーマンスを輝き、尊敬の眼差しで眺める 下級生の一員として、俺も眺めていた。 フォークダンスも、みんなでワイワイ騒いで クシャクシャの笑顔になりながら、闇を舞った。 後夜祭の終わりと同時に、一斉に解散が行われた。 ぞろぞろとグラウンドから立ち去る全生徒。 幸せの余韻に浸りつつあった俺だが、グラウンドの電気が半分消えた瞬間 いつもの気持ちに戻った。 全生徒が、一斉に帰宅するはずなのに 歩む帰路は、やはり独りだろうと 頭を過ぎる。 『んっ・・・』 完全に呆れて笑ってしまった。 たかだ、そんなことで って。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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