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大腸肛門専門外科医のひとりごと

大腸肛門専門外科医のひとりごと

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2005.08.23
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テーマ:癌(3550)
このBlogを始めてから、始めていろいろと他人のBlogを見に行ったりするようになりました。

このBlogは楽天広場ですけど、テーマ別の日記からいろいろといってみたわけです。

自分は外科医ですので「健康」あたりに関連したBlogがあるかなと思いみてみると、

ダイエット多いですねw

でもやはり目に付いたのは闘病記。特にがん関係のものが多いんですね。

自分ががんである、身内ががんである。

患者さんと家族がどんなことを考えて日々の治療をおこなっているかがストレートに伝わってきます。

そんなこともあって先日の日記にちょこっと自分の仕事関係のことを書いたわけなのですが

これがいままで書いた中では一番コメントいただきました。

励ましの内容が多くて恐縮です。

現場の人間があまり具体的なことを書くと守秘義務も生じますので

患者さんの具体的な話はあまり書けませんが、

一般的なところで外科医の立場からみたことなどをちょこっと書いてみようかと思います。

というわけで勝手にシリーズ化してみましたw



いろいろな患者さんのBlogを読んでから

ちょっと自分の中で何か患者さんに対する意識が変わったような気がします。

わたしは消化器外科医であり、やはりがん患者さんが多いです。

大腸が専門ですので大腸癌の患者さんが多いわけです。

今、私は2ヶ月ほど研修で日本では一番のがん専門施設にきています。

そこで手術をみていてつくづく思うことは、

「手術にはうまい下手が確実に存在する」

ということです。

上手な先生は早いし出血も少ない。

これは当たり前なんですけどね。

でも患者さんにしてみたら自分が命預けるわけですからうまい先生にやってもらおうと思うのは当然。

また、そういった先生がいるところに患者さんは集まります。

数多くの症例を手がけた先生がいる施設であればそれなりの腕を持った先生がいるとは思いますが、

それだけでもないんだなーと思ったのが

「下手な手術をいくらみてもうまくならないよ」

といわれたんですね。



そりゃそうだなーと。



自分の施設の上の先生から手術を教わるわけですけど、そのやり方がいいか悪いかは、

やはり外を見てこないと分からないですね。

今回日本有数の先生の手術を見させていただきましてとても勉強になりました。

しかしながら1人の先生がこなせる手術には限りがあります。

すべての患者さんがその先生にやってもらえるわけではありませんよね。

だから思ったのは

「うまくならなきゃいけないな」

「下を育てなきゃいけないな」


という二つのこと。

当たり前のようで難しい。

育てるにはやらせなきゃいけない。

自分でやった方が数段早く、うまくできることはわかっている。

これはジレンマですね。そこをぐっとこらえてやらせる。

上の先生もそうやってみてきてくれてたんだろうと思います。

それともう一つ。

「教え方にもうまい下手がある」

「もっとこうやって教えてくれればわかったのにー」

「こういうふうに教えてあげればわかってくれるんだな」

「ここは真剣に注意しないとやばさがつたわらない」

正直、今まで自分が教わってきたやりかたは効率が悪い。

職人じゃないけど「見て盗め」的な感じ。

もうちょっと教え方はうまく出来る気がしますけど。

自施設に帰ったらせっかく勉強したことは生かそうと思います。



この前読んだ医学雑誌にアメリカあたりだと上の先生は指導ばかりになってるそうです。

日本もこうならなければいけないと書いてありましたけど、外科医は自分でやりたいんですよね・・・。

かく言う私もいってみれば今が一番手術ができるお年頃なわけで、どんどん症例をこなしたい。

でもやはり育てないとね・・・うちの病院教育施設ですから。

下にやらせるのであれば責任は上が取る。

下がやる手術でも過不足があってはならない。

やばかったら取り上げる。

勉強しないヤツにはやらせない。

こんなことを今あらためて考えてます。

自分ももっと勉強して高みに登らないといけないな。



最近、病院ランキングの本が数多く出ています。

大体施設の手術症例数なんかがのっていてランキングがつけられてます。

患者さんはこういったものをみて「この施設なら」と思って受診します。
当然その病院は更に混みます。

手術をしてくれといわれてもこなせる数には限りがあるので待たされる時間も長くなります。

でもね、そこで症例数だけを見ないほうがいいですよ。

合併症の発生率や、その病院の治療成績はどうなのか、

全国平均はstage別で見ればどの程度であり、その施設がその成績を上回るものなのか。

手術をしている先生の数もあるので頭割りしたら先生ひとりの経験数はかわらないかも。

こういったことをきちんとおさえましょう。

必ずしもマスコミに露出が多い先生、施設が名医ではありませんので。

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Last updated  2005.09.21 12:32:28
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